経営×経理

土井会計士 クラウド会計ソフトだけでなく、「経費」「マイナンバー」「請求書」「消込」など、他のクラウドソフトも連携導入しているようですが、その理由はどこにあるのですか?

土井信幸(どい・のぶゆき)
2017年に創業100年を迎える土井電機株式会社代表取締役CEO。株式会社リコーに約10年間勤務し、クラウド・コンピューティングの基礎技術の開発や営業職を経験したのち、2010年に土井電機代表取締役に就任。 全社員へのiPad支給と積極的なクラウドサービスの導入を進め、伝統化した業務スタイルから脱し、売上アップ、業務効率化、社員のITリテラシー向上を成功させている。

土井社長 クラウド会計導入を検討した当初から、会計だけでなく付随するクラウドサービスを連携させてこそ業務が一気に効率化できるという意識がありました。弊社が導入しているクラウド会計ソフトは、数ある類似サービスの中でもバージョンアップのスピードが一番速いと感じたものです。新しい分野では、ユーザーの声を受けてバージョンアップを素早く回せるサービスが勝ち残ると私は考えています(*土井電機が導入しているソフトウェアは、記事末でまとめて紹介しています)。ソフトが頻繁に自動アップデートされるということは、新しいソフトを買わなくても常に最新機能の恩恵を受けることができるということです。クラウド会計を導入していないライバル会社に先んじることができますから、この波に乗ったほうが得だと考えました。

米津 会社の業務システム全体を入れ替えたことになりますね。システムインフラが月額1万円や2万円で整うというのは、他の分野ではありえないことですよね。

土井社長 我々のような中小企業にとって、安さは大きな魅力です。

米津 クラウド会計以外のクラウドソフトは、どのような基準で選択・導入されたのですか?

土井社長 デイサービス事業部では介護業界専用のクラウドサービスを使っていますし、関連事業の美容鍼灸院では別のPOSレジソフトを入れて個別に管理しています。無料の体験版などを活用して実際に一度使ってみて、使えるものだけを残し、不便を感じたものは導入をやめるという方針です。

土井会計士 請求書情報と実際の入金を自動で照合する「自動消込ソフト」は、料金が高いために利用している企業が少ないようですが、どの程度メリットを感じていらっしゃいますか?

土井社長 自動消込は主に製造部門の会計で使用しています。それまで消し込みは経理担当者が残業しなければ終わらない業務の1つでしたが、作業時間が大幅に短縮され、経理担当者の残業がゼロになりました。会社にとっては費用が減り、担当者にとっては自分の時間が増えるというメリットにつながりました。

土井会計士 人件費を考えれば、自動消込ソフトに月に数万円かかっても「元が取れる」計算になりますよね。具体的にはどのくらいの削減につながったのでしょうか?

土井社長 ひと月二十数万円から30万円の人件費削減につながりました。

土井会計士 最も導入しやすいソフトはどれでしたか。

土井社長  クラウド経費ソフトですね。「これで申請しないと経費を認めないよ」と社員に伝えるだけですから、切り替えが楽でした。あとはクラウドマイナンバーソフトです。マイナンバー関連事務は面倒が多いことがわかっていたので、クラウド管理との相性が良く、スムーズに導入できました。

Special Columns

土井貴達 どい たかみち

1973年生まれ。関西大学商学部卒。公認会計士・税理士。 土井公認会計士・税理士事務所代表。2012年に大手監査法人金融部を退所し、独立。 監査法人勤務時代に実施していた取引先企業への貸付金、有価証券の査定業務に係る監査、 コンサルティング業務などを通じてあらゆる業種に精通。 独立後も、企業融資のサポートを得意としている。 独立直後からクラウド会計の導入を始め、クライアント企業への導入サポートは数十社に及ぶ。

米津良治 よねづ りょうじ

1983年生まれ。上智大学法学部卒。税理士。税理士法人ファーサイト・パートナー。上場企業にてIR職、経理職等を経て現職。企業勤務時代に社内横断の業務プロセス改善プロジェクトの中心メンバーとして活動したことをきっかけに、業務効率化にこだわりを持つ。早くからクラウド会計の優位性に着目し、研究を開始。わずか1年で30社以上のクライアントにクラウド会計を導入した実績を持つ。

河江健史 かわえ けんじ

1979年生まれ。早稲田大学商学部卒。公認会計士。河江健史会計事務所代表、FYI株式会社代表取締役。 監査法人、証券取引等監視委員会等での勤務を経て現職。 「クラウド会計は人材不足に悩む中小企業の救世主」という思いのもと、クライアントへの導入を進める。 主な共著に『リスクマネジメントとしての内部通報制度:通報窓口担当者のための実務Q&A』(税務経理協会)、 『国税庁「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組み」徹底対応 税務コンプライアンスの実務』(清文社)、 『インドネシアのことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版社)などがある。


「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?

2012年頃に登場し、わずか5年で100万社以上の企業が導入している「クラウド会計」。GmailやDropboxがあたりまえのようにビジネスの現場に普及しているように、今後、会計・請求・給与・経費精算などのバックオフィス系だけでなく、 顧客管理や在庫管理などあらゆる経営リソースがクラウド化していくことは間違いないと見られている。本連載では、クラウド会計をどう活用するか、企業の事例を中心に『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』(ダイヤモンド社)の著者の3人の税理士がインタビュアーとなって紹介する。

「「クラウド会計」は経営の生産性をどれだけ上げるのか?」

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