年功序列制が消滅し“能力序列”の秩序がグローバル化の波とともに加速していく。昨年社長公募を行い、話題を呼んだユーシンの田邊社長は、「20代はともかく、30代、40代は即応力がなければ即・クビになる未曾有の業界人事が進行していく」と断言する。年功序列の“上昇気流”なきこの時代を生き抜くには言語と技術の両翼で、自分の力で大地を蹴り、飛び立たなければならないのだ。前編に引き続き、ビジネスパーソンはどうすれば生き抜けるのかについて、ユーシンの田邊社長に聞く。
“日本人らしさ”を
超える宿命にある日本人
1934年2月1日生まれ。1956年4月日野自動車入社、1961年退社。1961年4月にユーシン入社、1965年2月同社取締役に就任。1976年2月に同社代表取締役専務を経て、1978年2月より同社代表取締役社長を務める。2006年7月同社最高顧問に就任。08年2月には、同社代表取締役社長に復帰し、現在に至る。
南 中国やインドのビジネスパーソンが当然のように英語を話せるのに対し、日本人は英語を話せる人が非常に少ないことについて、どう思いますか?
田邊 困ったものですよね。語学力の低さはもちろん、自分で決断することが苦手な国民性であることとは大きな問題ですよ。
そもそも、一度受かったら年功序列でどんどん地位が上がっていくシステムを、未だに国家公務員が踏襲している段階で、すでにおかしいのです。これからはグローバルの時代です。それは単純に英語を話せればいいというわけではなくて、競争が世界規模に拡大する時代が来ることへの自覚があるかが問われているのです。
たとえば、何か政治的な不満があった時、海外ではデモを大々的に行います。でも日本ではそういった動きは稀です。主体性がそもそも低いのです。これは会社での働き方にも影響しています。主体性が低いという、もともと私達が持っている国民性のハードルも超えなければいけないのが、日本人の宿命ですね。
南 日本のビジネスパーソンがこのグローバル化で勝ち残っていくために、英語の習得以外にスキルアップすべきポイントはどこでしょうか?
田邊 語学と技術、そして主体性の3つですね。これが非常に大きなウェイトを占めます。逆に言えば、この3つをしっかり押さえていれば成り立つ時代です。