福島第一原発の処理水の海洋放出に抗議するソウルの市民福島第一原発の処理水の海洋放出に抗議するソウルの市民 Photo:Chung Sung-Jun/gettyimages

福島第一原発の処理水(以下、処理水)を海洋に放出する問題を巡り、日本に対して韓国の左派勢力や中国が反発を強めている。韓国では左派系最大野党の「共に民主党」や市民団体が、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権への攻勢をかけるべく、ネガティブキャンペーンを展開している。6月中旬には、処理水への不安から、国民が塩を買いだめ、スーパーから塩が消えるという「塩騒動」も起きた。処理水問題に対する韓国民の反応は……?(韓国在住ライター 田中美蘭)

水を飲み「福島の味がする」といったYouTuber
そして「塩騒動」は一瞬で終わった

 日中韓の政治問題となっている処理水問題。しかし身の回りを見る限り、メディアの論調に反して身の回りで処理水について韓国の世論が盛り上がっている様子はなく、筆者自身もこの問題を韓国人の知人や友人から投げかけられるといったこともない。しかし一部では、「共に民主党」や左派市民団体の日本たたきに、著名人が便乗。あきれた言動が話題になっている。

 一つはチャンネル登録者数67万人を抱える人気YouTuberが日本旅行の様子を伝える動画の中でペットボトルの水を飲み「福島の味がする」とコメントしたことだ。これは、日本人からも韓国人からも批判を受けた。

 他に、Riaa(リア)という名の女性歌手がソウルの日本大使館を訪れ、“福島第一原発の近隣で採取した海水”なるものを渡そうとして警察に阻止されるということもあった。