トランプ氏の再登場と「台湾有事」への影響もトランプ氏の再登場と「台湾有事」への影響も Photo by Teppei Hori

2月24日、ついにロシア軍がウクライナへ軍事侵攻を開始。ウクライナを巡る世界情勢について、ジャーナリストの田原総一朗氏に2月24日夕刻、話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド社編集委員 長谷川幸光)

【ウクライナを巡る2月24日の動き】

午前0時(日本時間午前7時)、ウクライナのゼレンスキー大統領、30日間の非常事態宣言を発令。
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午前6時(日本時間午後1時)前、プーチン大統領がテレビ演説し、ウクライナ東部の親ロシア派住民を守るために「特別な軍事作戦の許可を出した」と発表。
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ウクライナのインフラ施設や国境警備隊にミサイル攻撃が加えられ、首都キエフなど複数の都市で爆発音が響く。ウクライナのクレバ外相がツイッターで、ロシアがウクライナへ全面侵攻を開始したと述べる。
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ゼレンスキー大統領が国内全土に、非常事態宣言よりも厳しい戒厳令を発令。ロシアとの外交関係の断交を表明した。
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午後5時(日本時間25日午前0時)頃、ゼレンスキー大統領、ツイッターにて、ロシアが(キエフの北およそ110kmに位置する)チェルノブイリ原発を占拠しようとしている旨をツイート。その後、ウクライナ大統領府はチェルノブイリ原発がロシア軍により占拠されたことを発表した。

ウクライナの首都キエフは
かつてソ連の「地方都市」だった

――ロシア軍がウクライナに軍事侵攻を開始しました。

 プーチン大統領は、ウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州の一部を「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」として実効支配する親ロシア派の武装勢力を、独立国家として認める大統領令に署名。これによって「ウクライナではなくなった」とみなした2つの地域に、軍の部隊を派遣した。その後、ウクライナへの本格的な軍事侵攻まで早かった。首都キエフでも爆発音が続いているという。

 1965年、当時、東京12チャンネルのディレクターだった僕は、ソ連の首都モスクワで開かれた「世界ドキュメンタリー会議」に参加した。4週間の滞在中、ソ連の地方都市を案内してくれることになり、連れて行ってもらったのがキエフだ。ウクライナの首都のキエフは当時、ソ連の「地方都市」だったのである。石造りの建物が立ち並ぶ、とても美しい街だったことを記憶している。

――フランスのマクロン大統領が提案した米ロ首脳会談に、双方が原則として合意したといわれていましたが。

 マクロン大統領はそう語ったが、自信はまったくなかっただろう。両国の幹部たちも、両首脳の会談が成功するとは考えていなかったはずだ。

――ウクライナへの軍事行動は、国際社会からの経済制裁など、ロシアにとっても相当のリスクがあると思いますが、なぜプーチン氏は踏み切ったのでしょうか。