東日本大震災から12年、福島の復興・再生はどのくらい進んでいるのか? 除去土壌の県外最終処分における最大のボトルネックは何か? 諸外国の反応は? 福島の原発事故は、若い世代にとっては全体像がわかりづらく専門用語も多いため、話題に出しづらい雰囲気があります。そこで、福島の復興・再生に関する基本的なことから、現在の進捗状況、今後について、環境省を訪れてじっくりとお聞きしました。(聞き手・文・編集:探求集団KUMAGUSU)
東京電力や行政、それぞれの
役割分担はどうなっているの?
――2011年3月11日、東日本大震災によって東京電力福島第一原子力発電所の事故、いわゆる「原発事故」が起こりました。現在の福島の復興状況についていろいろとお聞きしたいのですが、そもそも環境省ではどのようなことに取り組んでいるのでしょうか。
馬場康弘氏(以下、馬場) 発災後、環境省が取り組んできたことは、大きく分けて3つあります。
1つは「除染」です。放射性物質が付着した土壌や草木を除去します。
次に「貯蔵」です。除去された土壌や廃棄物(※)を、貯蔵施設へ運び、管理します。これを「中間貯蔵」と呼び、施設を「中間貯蔵施設」と呼んでいます。
そして「再生利用・最終処分」です。福島県内の除去土壌は、中間貯蔵開始後30年以内に福島県外で最終処分を行うことが決まっています。そのため、再生利用や最終処分を本格化するための環境整備や、国民の皆さんの理解の醸成に取り組むことも大きな役割です。
――東京電力や経済産業省との役割分担はどうなっているのですか?
端的に言いますと、福島第一原発を基準に、オンサイト(原発敷地内)とオフサイト(敷地外)ですみ分けが違うんです。
オンサイト、つまり、福島第一原発内の対応は、経済産業省と東京電力が行っています。
事故によって放射性物質が原発敷地外へ広がり、環境の汚染が起きたわけですが、オフサイトで除染して中間貯蔵施設に集めるのは環境省の役割です。
また、ALPS処理水を海洋放出する前と後のモニタリングも環境省が担当します。2045年3月までに、除去土壌を福島県外で最終処分するための道筋を立て、それを実施するのも環境省です。
――中間貯蔵施設、「中間貯蔵庫」とも呼ばれていますが、位置はどこになるのでしょうか?