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カプコンの開発統括トップ、一井克彦専務に聞く
世界市場での闘い方とゲーム業界の真のチャレンジ

石島照代 [ジャーナリスト]
【第20回】 2011年8月2日
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元気がないと言われる国内家庭用ゲーム市場で、存在感を発揮し続けるソフトメーカーのひとつが、カプコンだ。国内では「モンスターハンターポータブル3rd」(プレイステーション・ポータブル用)で460万本越えの大ヒットを飛ばす一方、世界市場でも、格闘ゲーム「ストリートファイター」、「バイオハザード」シリーズで抜群の人気を誇る。その一方で、歴女ブームの火付け役となった「戦国BASARA」などの異色タイトルの開発も怠らない。このマルチかつ重厚な開発力を維持する秘訣は何か。同社の開発統括トップで、6月に取締役専務執行役員に就任したばかりの一井克彦氏に話を聞いた。

石島(筆者):一井さんは約7年前、同業他社からカプコンに転職し、今回役員となったわけですが、現在はどんな心境ですか。

一井克彦(いちい・かつひこ)
1964年大阪府生まれ、47歳。1986年甲南大経営学部卒、97年コナミ入社、2002年コナミコンピュータエンタテインメント東京取締役。04年コナミ退社後、カプコン入社。05年執行役員、10年コンシューマエンターテインメント事業統括本部長および開発統括(兼任)、11年 6月現職。

一井:気持ちは2ヶ月前となにも変わっていませんが、すばらしい仲間とともに仕事ができる喜びと感謝の気持ちは、日々強くなっています。

 ご承知の通り、カプコンでは去年の秋口に開発責任者が退職し、ファンの皆様や株主の皆様、業界関係者の皆様にご迷惑やご心配をおかけしました(本連載第8回参照)。この場をお借りし、まずはお詫び申し上げたいと思います。

 その後、開発責任者を拝命いたしましたが、正直、私自身も未経験である開発トップという役に対し不安がぬぐえませんでした。ですので、就任当日、開発のメンバー900人近い全員に集まってもらい、自分の気持ちを自分の言葉で正直に話しました。「ゲームを作ったことはないけど、みんなのサポートは全力でやるよ」と。その上で、私は開発を含むコンシューマ事業全般を見ておりますから、「話は早くなると思うよ」とも、付け加えましたが。

石島:反応はどうでしたか。

一井:すぐに私も知りたかったので、早速、開発役職者とタイトルのディレクター、プロデューサーを中心に6~70人くらいの人と昼夜関係なく個別の挨拶を行いました。一通り終わるまで、3週間くらいかかりましたけどね。

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石島照代 [ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

 


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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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