「がん保険」を「三大疾病終身保険」と比較してみる、
「がん保険」の方が120万円以上高い?

「がん保険」では60歳までの保険料は月々約6800円、60歳以降は約3400円になります。平成21年の「簡易生命表」では40歳の女性の平均余命が約47年あるので、保険料の払込総額は6800円の20年分と3400円の27年分を合わせて約272万円です(以下、1万円未満の単位は、実額に合わせて調整して表記しています)。

 以前、保険会社のホームページに出ていた保険金支払いの例を引くと、ある方が初めて胃がんと診断されて、27日間入院した場合、「がん保険」で受け取ることになる保険金の総額は「診断一時金200万円+入院給付金54万円」で254万円になります。

 加えて「抗がん剤治療」など、通院による治療が長期化するケースでも、日額2万円が日数無制限で支払われる点が、このプランの売りでしょう。なお、27日という入院日数は、「厚生労働省 平成20年 患者調査」にもとづき設定されているようです。

 一方「三大疾病終身保険」は、がん・急性心筋梗塞・脳卒中の3つの病気に対応しています。保障は一生涯です。そして保険金が支払われるのは、次の4つのケースのいずれかに該当した場合、1回だけです。

①「がん」と診断された時に「診断一時金」
②「急性心筋梗塞」で「所定の状態」になった場合に「一時金」
③「脳卒中」で「所定の状態」になった場合に「一時金」
④他の病気や事故などで死亡した場合には、一時金と同額の「死亡保険金」

 たとえば、保険金額が200万円の「三大疾病終身保険」に加入し、数年後に「がん」に罹った場合、200万円が支払われ、それで契約履行が完結するというものです。「がん」と診断された時点で200万円の保険金が支払われる機能は、「がん保険」と同じです。

 この保険に40歳女性が加入する場合で試算してみます。保険料の払い込みは60歳で終わる設計で、月々約6200円。60歳までに払い込む保険料の総額は約150万円になります。

「がん保険」で60歳までに払い込む保険料は約162万円ですから、この時点で「三大疾病終身保険」の方が12万円ほど安くなっています。「がん保険」の保険料払い込みは60歳以降も一生続くので、平均余命をまっとうした場合、「がん保険」の方が120万円以上の負担増になります。