「どこでも入れればよい」は間違い
出世度は出身地によっても異なる?

 長引く不況で、より一層厳しさを増す就活戦線。来るべき就活シーズンを見据えて、今から企業研究に余念のない大学生は多いことだろう。なかには、「来年卒業なのに、まだ就職先が決まっていない!」と慌てふためいている人も……。

 だが、「どこでも就職できればいい」というものではない。安定志向の学生が増え、「一生不安なく勤められる企業に就職したい」という学生が溢れているのだ。

 一方で、企業の採用担当者も頭を悩ませている。空前の「買い手市場」ではあるものの、安定志向の学生が増えた結果、就職ランキングで上位に名を連ねる人気企業ばかりに学生が殺到し、「自分の会社は閑古鳥が鳴いている」というケースも少なくないようだ。

  学生に興味を持ってもらえる企業PRを行うためには、どうしたらいいのか。思い浮かぶのはありきたりな宣伝文句ばかり……。

 そんな就活戦線において、迷える学生や採用担当者に贈るのが、ダイヤモンド社が独自に収集した有力企業1万6000社、20万事業所、役員管理職25万人のデータを収録した「ダイヤモンドD-VISIONシリーズデータベースサービス 役員・管理職情報ファイル」を基に、産業・企業別の最新トレンドを多角的に分析する、この連載だ。

 学生にとっては、巷の人気企業ランキングやOB訪問だけではわからない、業界や企業の「真のトレンド」を読み解く材料に、また企業の採用担当者にとっては、自分の業界や会社が持つ意外な魅力や強みを知ることにより、学生に対して本当にアピールすべきポイントを判断する材料になるはずだ。

 業界・企業の分析に入っていく前に、連載第1回は、ビジネスシーンで折に触れて話題になる「自分の出身地によって、出世できる確実性はどう変わるか」について考えてみる。

 いくら成果主義の世の中になったとは言え、入社してから「出身地によって出世に差が出る」といった都市伝説は、今も根強く残っている。真偽のほどはわからないが、気にせずにはいられないのが会社員の心理というものだ。