来年度税制改正の作業が、与党税調で始まっている。連日のように改正案の断片が報道されているが、全体像がいまだよくわからない。そこで、これまでの政府税制調査会の議論を基に、12月中旬の税制改正大綱の決定日までに予想される所得税改正の論点を、筆者の見解を交えながら述べてみたい。
サラリーマンと自営業者の区分
多様な働き方で曖昧に
あるべき税制を考えていくにあたっては、日本がいま、どのような経済や社会の問題に直面しているのかについての共通認識を持つ必要がある。さらには、今後、日本がどこに向かおうとしているのか、についても議論しておく必要がある。
ここ数年、政府税制調査会では、「働き方改革に伴う働き方の多様化」と、「所得再分配機能の強化」の2つを、税制を考えるべき重要な経済社会の変化と位置付けて議論が行われてきた。
1点目の「働き方改革」について、所得税がどう関係するのか論を進めてみたい。