経営 X 人事

国家資格にもなった「キャリアコンサルタント」の機能とは

人材育成機能も果たす

4・連携機能

 社員個人の悩みや相談に乗るという1対1の関係だけではなく、そのような情報をふまえ、個人情報の守秘義務に注意しながらも複数の部門が協力できるようになります。また人事関連の制度や運用の企画についてキャリアコンサルタントが意見を述べたり、定例会を持つようになることもあります。

5・人材育成機能

 日常的な上司の指導(OJT)が企業における人材育成の柱であることは言うまでもありません。しかしながら、再三申し上げているような社内コミュニケーションの現状を考えると、その部分を補完する仕組みがあることは望ましいと考えます。

 キャリアコンサルタントが研修講師となって、具体的な内容に基いて受講者に考えてもらうこと、上司の指導方法やコミュニケーションについて、部下との考え方にズレがあるような場合にも気づきがあることで人材育成につながります。

6・提案機能

 職場や人事に関わる諸制度について、現場に密着しながらも客観的な意見を述べることで、改善のヒントを提供できます。また従来なかった仕組み、例えば新入社員研修、中途入社社員研修、中高年社員研修にキャリア形成やキャリア相談のコーナーを持つ、といった提案も受け入れられやすくなると考えます。

 以上が、キャリアコンサルティングに期待される主な機能です。

 「期待される」という表現を、あえて使いました。というのは、厚生労働省も養成に力を入れ、その数も増えているとはいうものの、現状ではまだまだキャリアコンサルティングに対する産業界の理解は十分でなく、企業内に専門組織として配置する企業も決して多くはないからです。

 私自身は企業内での実践として、多くの社員と面談を重ねてきましたし、今もさまざまな企業の人事部やキャリアコンサルタントの相談を受けながら、組織内に普及させること、十分な機能を果たすことの難しさも痛感しているところです。

 いま大事なことは、ここまで述べたようなキャリアコンサルティングの機能を多くの方に理解していただき、それが本当に職場にプラスをもたらし、経営に資するものであることを知っていただくことです。

 次回からは、キャリアコンサルティングの進め方について、いくつかの事例をご紹介しながら、説明していきます。

(浅川キャリア研究所所長 浅川正健)

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「企業内キャリアコンサルティング」入門

2016年4月より国家資格となったキャリアコンサルタント。厚生労働省は企業内にキャリアコンサルタントを置き、従業員のキャリア支援を促進することを唱道している。本連載は、他社に先駆けて2001年に伊藤忠商事でキャリアカウンセリング室を創設して初代室長となり、退職後もライフワークとして「企業内キャリアコンサルティング」の普及に努めている浅川正健氏が、キャリアコンサルティングの望ましいあり方と、実際のコンサルティング事例を解説する。

「「企業内キャリアコンサルティング」入門」

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