資産価値が下がらない新築マンション選び[2018年]
2017年12月28日公開(2018年6月12日更新)
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千日太郎

新築マンションを値引きする会社はどこ?
デベロッパーの懐具合から傾向を分析(2018年版)

新築マンションを購入する際、「どのくらい値引きしてくれるのか」が非常に気になる人は多いはず。そこで、2018年の新築マンションの値引きについて、傾向と対策を教えましょう。まずは供給する主要なデベロッパー(住友不動産、三井不動産など)の懐具合を露わにし、そこからどのくらい値引き交渉にのってくれるのかをデベロッパーごとに明らかにしていきます。(住宅ローン・不動産ブロガー、千日太郎)

 東京オリンピックを前にして首都圏を中心とした新築マンションバブルも終わりが見えてきました。

 不動産経済研究所が発表した首都圏新築マンションの10月契約率は前年同月比0.9ポイント低下の60.7%でこれは1991年以来の低水準だそうですね。地域別に見ると、東京23区は68.3%ですが、東京都下は42.6%、埼玉は44.9%と半分も売れていないのです。

 理由は単純です、価格が高すぎるんですよ。都心はさらに高いですが、これを購入しているのは主に投資目的の不動産投資家です。でも、それにしたってこの契約率は低すぎます。デベロッパーの立場で考えて、これを売るにはどうしたらいいでしょうか? 最も手っ取り早いのが値引き販売です。

 しかし営業マンはこう言うでしょう。「お客様、この物件は人気で値引きはできません…」。

・これが本当なのか、ブラフなのか?
・完成まで待てば値下げしてくるのか、しないのか?
・決算近くになれば値下げに応じるのか、応じないのか?

 そこで、新築マンションの主要なデベロッパーの懐具合から、値引きにどのくらい対応してくれそうなのか、会社ごとに2018年の値引き交渉の傾向と対策を考えてみましょう。

新築マンション販売戸数上位ランキング(全国、首都圏、近畿圏)

 まず、新築マンションの販売戸数の上位にどんな会社が名を連ねているのか見てみましょう。不動産流通推進センターの統計調査結果から過去3年間(2014年度から2016年度)で常に上位20位以内に入っているマンションデベロッパーの平均販売戸数で順位を付けました。

 全国マンションデベロッパーの平均販売戸数ランキング
順位 デベロッパー 平均販売戸数
1位 住友不動産 5913
2位 野村不動産 4477
3位 三井不動産 4422
4位 三菱地所 4173
5位 プレサンス 2670
6位 大和ハウス 2415
7位 東急不動産 1980
8位 大京 1549
9位 タカラレーベン 1385
10位 あなぶき興産 1310
11位 日本エスリード 1252

 住友、野村、三井、三菱の旧財閥系が上位を占めており、2位グループに差を付けていますね。その中でも一つ頭が抜けているのが住友不動産です。

 次に首都圏を見てみてみましょう

 首都圏マンションデベロッパーの平均販売戸数ランキング
順位 デベロッパー 平均販売戸数
1位 住友不動産 4770
2位 三井不動産 3528
3位 野村不動産 3378
4位 三菱地所 3215
5位 東急不動産 1122
6位 一建設 1044
7位 明和地所 730

 首都圏ランキングは全国ランキングと似た順位になっています。販売戸数を見ても上位5社の大半が首都圏でマンションを販売しています。一建設と明和地所は首都圏の地場の販売業者です。

 最後に近畿圏のランキングです。

 近畿圏マンションデベロッパーの平均販売戸数ランキング
順位 デベロッパー 平均販売戸数
1位 プレサンス 1850
2位 日本エスリード 1252
3位 和田興産 802
4位 近鉄不動産 774
5位 東急不動産 738
6位 住友不動産 721
7位 阪急不動産 715
8位 日商エスエム 619

 近畿圏は、全国とガラっと変わります。全国ランキングで上位にあったプレサンスコーポレーションは近畿圏で大半の物件を販売しています。2位の日本エスリード、3位の和田興産、4位の近鉄不動産は全国ランキング、首都圏ランキングに出てこなかった会社です。関西の地場で強い業者ということです。

各社の値引き傾向は、「販売用不動産÷分譲売上高」で丸裸になる

 これらランキング上位の会社の「値引き傾向」を反映するもの、それは決算書の数字です。「分譲売上高」と「販売用不動産」に注目します。

●「分譲売上高」は文字通り、売上高です。マンションが完成して、購入者に鍵を引き渡した時点で計上されます
●「販売用不動産」は在庫です。完成して、まだ売れていないマンションの原価が計上されます

 このルールは全ての会社に共通のルール(会計基準)です。つまりこういうことが言えるのです。

・「販売用不動産÷分譲売上高」が高い
売上に対して多くの在庫を抱えている

・「販売用不動産÷分譲売上高」が低い
売上に対して少しの在庫しか持たない
 マンション販売戸数上位ランキングの「販売用不動産÷分譲売上高」を横串で比較すると、会社によってずいぶんと違うんだなということが見えて来るのですよ。

※ 平均的な在庫水準を比較するため3月の本決算ではなく期の真ん中の第2四半期(9月)を使いました。3月決算の会社以外は直近の第2四半期を3期間比較しています。 非上場会社(一建設と阪急不動産)は四半期決算を行っていないため、3月の本決算を使い、分譲売上高は2分の1しました。

 上図を見ると、在庫が多いマンションデベロッパーほど売り急がない傾向があります。

 かつては「在庫」は悪ととらえられていました。在庫が膨らめばそれだけ金利の支払いも多くなり、財務を圧迫するからです。しかし、2008年の不動産バブル崩壊により、財務状態が悪いデベロッパーはほとんど破綻してしまい、現在は財務状態が良好なデベロッパーだけが残っているという状況です。こうなると、売り急ぐ必要がなくなり、完成後もじっくりと販売していくデベロッパーが増えています。

 一方で、在庫はほとんど持たないというデベロッパーも存在します。在庫を持たない方針を明確にしているデベロッパーは、期末に売れ残り物件があれば、比較的容易に値引きに応じます。

デベロッパー別の値引き交渉の傾向と対策

 そこで、2018年における、デベロッパーごとの値引きの難易度をS、A、Bの3つにランク分けしてみました。参考にしてみてください。

 2018年のデベロッパーごとの値引きの難易度
値引きの難易度 デベロッパー 在庫の状況 販売方針と値引きの傾向
S 住友不動産、三井不動産、大和ハウス、東急不動産、阪急不動産 100%を大きく上回る
(売上に対して多くの在庫を抱えている)
高いブランドイメージを守る企業が多く、値引き交渉が最も困難なグループ
A 野村不動産、大京、日本エスリード 100%を少し下回る
(売上に対してやや多くの在庫を抱えている)
ブランドイメージよりも在庫を抱えることは嫌がる。いわゆる売れ残り物件であれば値引きの可能性がある
B 三菱地所、プレサンス、タカラレーベン、あなぶき興産、和田興産、(一建設)、明和地所 100%をかなり下回る
(ほとんど完成在庫を持ち越さない)
完成在庫を持たない。売れ残りそうになったら早期に値引き販売する

 それぞれのデベロッパーごとに、どんな販売方針を持っているデベロッパーで、2018年にはどの程度、値引き交渉の余地があるのか、ワンポイントアドバイスを書きましょう。

 住友不動産  値下げしなくても売れる
 旧財閥系のトップ4社の中でも一つ抜けて販売戸数を維持しているのが住友不動産です。他の会社は3期間で在庫の割合が逓増している中で唯一、在庫の割合を下げています。これは、在庫が増えるよりも販売が増加しているからです。住友不動産のマンションで、「値下げしなくても売れてます」と営業マンが言うのはブラフではありません。

 野村不動産  完成在庫は値下げ余地あり?!
 野村不動産の在庫の割合は、2015年度まではかなり低かったのですが、2016年度にグッと上がって、そのまま2017年度まで来ています。基本的には完成在庫を持たない、早期に値下げして完売するタイプなのですが、首都圏の契約率の低迷から多くの在庫を抱えざるを得なくなっている状態です。特に完成在庫については値下げ交渉する価値ありです。

 三井不動産  慌てて値引きはしない
 三井不動産は、2017年上半期に500%超えという異常値を示していますね! 在庫が増えているのではなくて今年の上半期に投資家向け分譲売上高が激減したからです。決算説明では、下半期に投資家向け分譲売上高を増やして増益にすると言ってます。個人顧客向け分譲売上高については前年を上回っており、不振に陥っているわけではないので、値引きをしない方針に変わり無いでしょう。

 三菱地所  決算前の2月が狙い目
 三菱地所は、基本的に完成在庫を嫌うタイプの会社です。ただ、野村不動産が売れ残りで在庫を増やしてしまったのに対して、三菱地所は上手に売り切っていますね。物件の完成月前後と決算月の直前(2月)をピンポイントに狙って値引き交渉することをお勧めします。

 プレサンスコーポレーション  随時値引き交渉できる
 近畿圏(関西)でトップのプレサンスコーポレーションは、完成在庫が極端に少ないタイプです。「完成までに絶対に売り切る」という方針でなければ、こうはならないです。決算月まで待つとかではなく、物件の完成月までにはほとんどの部屋を売り切りますので、随時値引き交渉すべき会社です。

 大和ハウス工業  値引き難易度は高め
 大和ハウス工業は、タイプとしては住友不動産に近いタイプで、値引きが困難な部類に入ります。直近の2017年上半期は完成物件が増えた割には売上高が伸びませんでした。ただし、旧財閥系、電鉄系とは違うので、社内でのマンション分譲の売れ残りに対する風当たりは強そうです。難易度が高い中では値引きに応じやすい会社です。

 東急不動産  販売好調で、値引きは困難
 東急不動産のような電鉄系のデベロッパーの特徴として、鉄道というインフラ事業から安定的な資金が供給されるので、在庫を抱え続ける資金力があるという点があります。2015年度、2016年度の在庫の割合が高いのはそれが理由です。2017年度に在庫の割合が激減しているのは、分譲売上高が増加したためです。つまり直近の販売は好調ですので、値引きの難易度は高めです。

 大京  完成物件なら値引きの余地あり
 大京といえば、ライオンズマンションです。在庫の割合が増えているのは分譲売上高が低迷しているからです。全国的に比較的まんべんなく展開しているので、首都圏の契約率の低迷の影響を受けにくいのですが、底だまりになっている売れ残り物件がなかなか販売できずにいる状態ですね。完成物件に絞って値引き交渉すれば成功率は高めだと思います。

 タカラレーベン  積極的に値引く可能性あり
 タカラレーベンは、基本的に完成在庫を持ちたくないタイプの会社です。しかし、明らかに在庫の割合が増えているのは分譲売上高が前年同期比△47.5%と低迷しているためです。下半期にかけては、年度決算の目標を達成するために積極的な値引き販売に移るでしょう。積極的に交渉してくべきです。

 あなぶき興産  完成物件が狙い目
 あなぶき興産も、基本的に完成在庫を持ちたくないタイプの会社です。しかし、明らかに在庫の割合が増えているのは分譲売上高がジリジリ減っていて、底だまりの売れ残り物件が滞留しているためです。決算月が6月の会社ですので、今からですと3月に向けての値引き交渉というよりは、完成物件に絞って値引き交渉すれば成功率は高めだと思います。

 日本エスリード  交渉余地は少ない
 日本エスリードは、ほぼ近畿圏(関西)のみでマンションを販売している会社で、近畿圏ではプレサンスコーポレーションに次ぐ僅差の2位です。2017年上半期の在庫割合が極端に低いのは分譲売上高が増加して、在庫が激減しているためであり、値引き交渉の難易度は高めです。

 一建設  積極的に値引き交渉したい
 一建設は、首都圏を中心として戸建てとマンションを供給している会社です。郊外のマンションが中心となっているので、東京都下と周辺県の契約率の低迷の影響をモロに受けている状態です。在庫の割合が高いのは「値引きしないから」ではなく、「元が割高だから」と思われます。積極的に値引き交渉していくべきでしょう。

 和田興産  随時交渉すべき
 和田興産は、近畿圏(関西)でマンションを販売している会社で、近畿圏では3位です。基本的に完成在庫を持たないタイプです。プレサンスと同じく、決算月まで待つとかではなく、物件の完成月までにはほとんどの部屋を売り切りますので、随時値引き交渉すべき会社です。

 明和地所  首都圏で契約率が低迷
 明和地所は、首都圏に加え、福岡、北海道にマンションを供給している会社です。首都圏の契約率の低迷の影響で在庫の割合が増加していますが、全社の分譲売上高自体は伸びています。首都圏の完成物件が足を引っ張っているものの、他の地域でカバーしている感じですね。在庫を持たない方針の会社ですので、積極的に値引き交渉していくべきでしょう。

 阪急不動産  値引き交渉は難しい
 関西では絶大なブランドイメージを誇るのが阪急不動産です。電鉄系のデベロッパーの特徴として、鉄道というインフラ事業から安定的な資金が供給されるので、在庫を抱え続ける資金力もあります。基本的に値引き交渉は難しい部類ですが、物件によっては数百万円の値引きしてもらえたという情報もあります。

『早くしないと売れてしまいますよ!』~この心理戦に勝つ方法

 営業マンにこんな風に言われて背中を押される人は多いです。

 営業マン 「早くしないと売れてしまいますよ」。

 確かに売れてしまう可能性もありますが、過度に焦ったり迷ったりすれば誤算を誘発します。こんなはずじゃなかった…。そんな失敗をしないためには、一度立ち止まって視野を広く持ち、またいろいろな角度から見ることです。

 そもそも、家を買う代償として負う「35年の住宅ローン」のことを思うと、値段次第では買ってもいいと思うような物件は、かなり気に入った物件ということです。しかし気に入った物件だからこそ、焦らずに、値引きの余地があるのであれば、ぜひ交渉しましょう。デベロッパーによって、値引きに応じやすい時期があったり、完成物件は早期に売却するという方針を持っていたりするので、慌てずに対応したいものです。値引きが難しくても、家具やオプションを無料でつけてもらうという手もありますよ。その際にはぜひ、「2018年の新築マンションの値引き傾向」を参考にしてください。

 私事ですが、2018年1月27日にわたくし千日太郎の著著「家を買うときに『お金で損したくない人』が読む本」が発売となります!

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