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ミャンマー その投資ブームは本物か

【新連載】
なぜ、今ミャンマーに世界の耳目が集まるのか?
5つの魅力と忘れてはならない4つのリスク

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第1回】 2012年8月3日
著者・コラム紹介バックナンバー
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 民主化が進むミャンマー。欧米諸国の経済制裁が解除されたことをきっかけに、本格的に世界各国の企業が動き始めた。ヤンゴン中心地のホテルは連日満室。急に現れた手つかずの市場で一旗揚げようと、世界中から目をぎらつかせたビジネスマンたちが押し寄せているのだ。

 いま、ミャンマー投資のブームが到来している。しかし、長年の経済制裁の影響は大きい。想像以上のリスクがつきまとうことも忘れてはならない。投資ブームが、単なる“ブーム”で終わってしまうのか。はたまた、投資がミャンマーの発展に繋がり、進出した企業に成長をもたらすことができる、“本物”となるのか。実際に現地に取材し、冷静な視点でミャンマー投資を分析してみたい。

投資ブーム到来で
視察バブルが最高潮

 「これが工業団地ですか――」

 茫洋と広がる荒野を前に、日本から工場立地の視察に来た中堅部品メーカーの経営企画部幹部A氏は言葉を失った。

 現地ガイドのインフラ整備がこれから行われるとの説明を受けても、あまりリアリティを持って聞こえてこない。ミャンマーの将来のポテンシャルの前に横たわる現実に、頭を抱えた。

 途方に暮れているのは、A氏だけではない。食品系企業の海外進出担当者も「ウチの会社は確かに新聞で“ミャンマー進出”と出ましたが、実際にプロジェクトを進める立場の人間としては、まったく先が見通せなくて、どうなることやらといった思いです」と、ぽつりとつぶやいた。

 そんな最前線に立つ担当者の言葉を証明するかのように、多くの企業は視察には行くものの、具体的な投資実行には二の足を踏んでいるようだ。現地のコンサルタントは「最近、日本でミャンマー関係の報道が増えたおかげで、視察のアテンドの仕事は増えましたが、見ていると、視察だけで終わっている会社が多いですね」と話す。もっとも、当の本人は、先々まで日系企業の視察のアテンドでスケジュールが埋まっていると、ホクホク顔だ。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


ミャンマー その投資ブームは本物か

民主化へ一気に動き出したミャンマー。政治体制の不安定さや民族間の紛争など、ミャンマー特有のリスクは依然として残るものの、欧米による経済制裁が解除されつつあり、世界中の企業が東南アジアの「ラスト・フロンティア」として注目している。現地では電力をはじめとした社会インフラに関する大型投資案件、工業団地の造成が急ピッチで進められている。日本企業も、成長の糧をミャンマーに見出そうと、熱い視線を注いでいる。しかし、ブームとなっているミャンマー投資は、果たして本物なのだろうか。ブームに踊り、現実を軽視した、拙速な投資へと急いでいないだろうか。現地取材を敢行し、冷静な目でミャンマーの現実をレポートする。

「ミャンマー その投資ブームは本物か」

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