アニキでもコンサルタントでもない
枠にはまらない“宇宙人”を紹介
スタートアップの育成というと、インキュベーターやベンチャーキャピタルを連想する人は多いだろう。特に日本では育成する主体を企業や組織という単位で考えがちだ。
一方、シリコンバレーでは、個人が主役だ。インキュベーションに、企業や組織だけではなく、個人が果たす役割が大きい。組織に属していても、個人としてとらえられる。誰が支援しているスタートアップかで、第一印象が左右されてしまうことも多い。
日本でも、個人でスタートアップ育成に汗を流す人もいる。なかには、本連載第4回で紹介した、「アニキ」や「コンサルタント」のような人々がいるが……。
今回、筆者は個人でスタートアップ支援をする、勝屋久氏と東園絵氏を紹介したい。なぜ、この二人なのか。それは、両氏は今まで日本に存在したスタートアップ支援、応援の常識や枠組みに当てはまらない、“新しい生き方”をしているからだ。
言うまでもなく、両氏は「アニキ」でも「コンサルタント」でもない。起業家やスタートアップを支援、応援することに変わりはないのだが、スタートアップの株式取得や、顧問料の徴収というような形を超えている。
ただ“自分”として活動し、新たなフロンティアをつくる、一般の人からみれば“宇宙人”のように見えるかもしれない。
両氏の活動は多岐にわたり、そのうえ、個性も強い“宇宙人”を、文字でどこまで伝えられるか筆者にとっては大きなチャレンジだが、インキュベーションは個人の力なしでは考えられないことを理解いただくため、今回はあえて挑むことにした。
“つながり”を助け、“変化”を促し、人が育つ機会をもたらす二人の“宇宙人”を例に、見逃しがちだが大切なインキュベーションのエッセンスと、起業家にとっての示唆を考えてみたい。