ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

完璧な組織構造はない
ある程度の問題は覚悟しておく

上田惇生
【第304回】 2012年9月26日
著者・コラム紹介バックナンバー

 「完璧な組織構造などありえない。せいぜいできることは、問題の少ない組織をつくることである」(ドラッカー名著集(14)『マネジメント─課題、責任、実践』[中])

 組織に欠陥があるときに表れる症状にはどのようなものがあるか。

 第一が、階層の増加である。情報理論によれば、中継点が一つ増加するごとに、伝達される情報は半減し、発生する雑音は倍増する。組織において階層とは、この中継点である。

 そもそも階層が15もあったのでは、運よく各階層を5年で卒業していっても、社長候補と目されるようになるだけで、80歳から90歳になる。

 第二が、組織問題の頻発である。組織にかかわる問題を一つ解決した途端に、似た問題が姿を変えて出てくる。考えもなしに、職能別組織や「ラインとスタッフ」の考えに頼るからである。自らの組織の基本単位が何であり、それらをいかにして組み合わせるかを分析しないからである。

 第三が、些事の重視、すなわち所管と手続きの重視である。「組織は戦略に従う」の原則を知らずに、生かじりの組織論に従う。重要なのは組織図ではなく、組織そのものである。

 第四が、会議の増加である。理想的な組織とは、会議なしで動く組織である。人は、会議に出るか、仕事をするかである。会議に出ていれば、その間仕事はできない。

 ドラッカーは、会議が多過ぎるということは、仕事の分析や仕事の大きさが十分でなく、仕事が真に責任を伴うものになっていないからだという。

 第五が、調整役の増加である。仕事が細分化され過ぎているためである。あるいは、組織の基本単位が、果たすべき貢献の種類ではなく、職能の種類によって機械的に配置されているためである。

 第六が、組織改革である。今日では、あらゆる組織が自らの構造を気にしている。それだけでなく、年中いじっている。これこそ間違った組織の典型的な症状である。

 「組織改革は手軽に行ってはならない。それはいわば手術である。小さなものであっても危険を伴う。安易な組織改革は退けなければならない。もともと完全無欠な組織構造はない。ある程度の摩擦、不調和、混乱は覚悟しておくべきである」(『マネジメント』[中])

関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

⇒バックナンバー一覧