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むきやすい栗から短いネギ、イボなしキュウリまで
日本の食卓にやさしい“機能野菜”づくりの匠たち

田島 薫
2012年10月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
イボやトゲがなく、つるんとした表面の「きゅうり中間母本農6号」(写真左)。料理のしやすさや食べやすさも格段に向上する(写真は農研機構HPより)

 健康志向の高まりに伴い、一般消費者の食への感度が、より鋭敏になっている。とりわけ、野菜は健康に不可欠な素材として、サラダや炒め物、煮物など、バラエティに富んだ様々なレシピが日々紹介されている。

 そんな今、野菜そのものを新たに進化させようという機運が高まっている。農業系の各研究所や大学などがこぞって開発を行ない、消費者のニーズに応えようと懸命だ。

 たとえば、これからの季節にさらに美味しくなる栗。栗ごはんやスイーツなど、秋の味覚を代表するその味わいは、広く愛されている。しかし、料理人泣かせなのが、その皮の厚みだ。ようやく皮を割っても、さらに渋皮が顔をのぞかせ、手こずらされる。

 そこで生み出されたのが、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下:農研機構)の果樹研究所が開発した「ぽろたん」だ。何とも愛くるしい名称だが、渋皮が「ポロン」と剥ける上、大粒で甘みも強めだ。何より優れているのは、電子レンジなどで過熱すると、渋皮を簡単にはがすことができること。

 この他に、鍋に欠かせないネギもある。これまで、買い物袋からはみ出るその長さがネックとなってきたが、最近では短めのネギが登場。前出の農研機構が、従来のネギの3分の2ほどの長さのネギ「ゆめわらべ」を開発した。これはあと2年ほどで市場にお目見えするという。

 また、表面が艶やかで光沢があり、イボやトゲがほとんどないキュウリ「きゅうり中間母本農6号」も登場している。果実表面に白い粉もふいていないことが特長だが、強い台木を利用できることで、収量増大や生産コストの低減も期待できるという。

 最近では、農作物のゲノム(遺伝情報)を読み取ることで、品種改良の技術が向上し、より効率的に改良できるようになったという。しかしいずれの品種も、数年にわたって、気の遠くなるような交雑組み合わせを経て生まれたものだ。農業に従事するプロフェッショナルたちの、まさしく汗の結晶でもあるのだ。

 また、単身世帯が増え、食生活も大きく様変わりしたことで、多様な個別のニーズも増えてきており、それにきめ細かく応えた格好でもある。

 これから秋も深まり、いよいよ鍋の美味しいシーズン。こんな進化した機能野菜を活用し、より進歩的な食卓を演出してみてはいかがだろう。そして、“農の匠”たちが手がけた渾身の野菜に、ぜひ舌鼓を打ってみたい。

(田島 薫/5時から作家塾(R)


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