商社の第2四半期決算発表が近づき、業界の盟主、三菱商事の社内がざわついている。2013年3月期決算の通期業績予想の下方修正に追い込まれそうだからだ。

 見通しは純利益5000億円で、過去最高益を記録するはずだった。それを「3500億円前後まで下げてくる」(五百旗頭治郎・大和証券シニアアナリスト)というのが、多くの市場関係者の読みだ。

 三菱商事といえば、主に石炭などの資源高を享受してきた業界の雄。だが、第1四半期決算では、原料炭などを扱う稼ぎ頭の金属部門の純利益は60億円と、前年同期と比べて9割も減少。早くから業績の下方修正が囁かれていた。

オーストラリアの鉱山ストで 業績下振れ懸念が強まる
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 最大の誤算は、オーストラリアの鉱山で労働者がストライキを起こしたこと。「労使協定は、大枠の合意にこぎ着けている」(三菱商事)というが、今年7月まで断続的に続いており、稼働率は約6割にまで低下した。

 それだけではない。中国経済の減速で鉄鉱石や石炭などの需要が鈍化し、直近の1年で原料炭の契約価格は40%近く下落している。会社全体の利益の実に38%(12年3月期)を金属部門に頼る三菱商事にとって、頭の痛い話となっているのだ。

 “一極集中”リスクには会社も危機感を抱いており、昨年チリなどの銅鉱山へ投資を決めるなど、商品や地域の分散を急ぐ。だが、それらが収益貢献する前に、恐れていたことが顕在化した。

 他商社は、資源価格の前提を堅めに見積もっていたり、他の事業でカバーしたりして、今のところ下方修正は免れそう。しかし、同様のリスクを抱えていることに違いはなく、“対岸の火事”ではない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 脇田まや)

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