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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

技術のダイナミクスを理解せよ
技術が製品や産業を生み出し
それが文明の発展を加速させる

上田惇生
【第310回】 2012年11月6日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
2520円(税込)

 「あらゆる企業が技術のダイナミクスを理解し、その変化の方向と速度を知らなければならない。新しい技術が既存の経済活動の外にいる個人としての発明家によるものにとどまるのであれば、そのような理解も必要ない。だが、これからの経済がイノベーションと変革の時代に入るのであれば、既存の組織に働く者が、技術の変化を予期し、そこからもたらされる機会を利用することができなければならない」(ドラッカー名著集(7)『断絶の時代』)

 ドラッカーは、まず、いかなる技術の変化が、いつ頃起こりそうかを知る必要があるという。

 もちろん技術の変化の日程は、あらかじめ知りうるものではない。しかし、かなりのことはわかるはずだという。「技術のダイナミクスはさほど不思議なものではない」。

 技術の変化を知るための第一の方法は、経済的な機会、つまりニーズを知ることである。ドラッカーは、必要は発明の母ではないが、助産婦の役は果たすという。

 技術の変化を知るための第二の方法は、あらゆる種類の知識について動向を把握しておくことである。知識の分野で何が起こり、どのような技術上の機会をもたらしているかを分析していく。

 技術の変化を知るための第三の方法は、人びとのビジョン、思想、言葉の変化を知覚することである。技術を通じて、経済、社会、文化を動かすものが、ビジョンである。

 ドラッカーは三つの例を示す。自動車産業、データ処理、新素材の例である。

 ヘンリー・フォードはなにも発明しなかったが、大量生産、大衆市場、大量販売というビジョンを持っていた。データ処理については、IBMの創立者トーマス・ワトソン・シニアが、それが何であるかも知らずに、コンピュータが普及する40年前から口走っていた。新素材は、それが現れる20年以上前に話題になっていた。

 われわれは、技術のダイナミクスを理解することによって、技術、製品、産業の変化を予期することができる。文明の変化まで予期できるかもしれない。

 「技術のダイナミクスの分析は、科学ではないが、感覚でもない。分析ではある。しかし技術だけの分析ではない。事実、技術だけの専門家が行いうることではない。それは企業家だけがよくなしうることである」(『断絶の時代』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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