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平田晃久
生命体の成長の合理性を人工物に

週刊ダイヤモンド編集部
【第64回】 2009年1月30日
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平田晃久
写真 加藤昌人

 四角い箱の中に床を積み上げ、ガラスで外界との境界を作る。20世紀の建築は「効率的な空調環境を最優先としてきた」。

 「箱の代わりに、生命体を置いた」。21世紀を拓く建築家は、野心的にパラダイムシフトを仕掛けようとしている。

 生命体は、成長のための合理的な形状を形成する。たとえば木が、光合成に都合のいいように枝をはわせ、葉を茂らせるように。それはあくまで自己中心的に出来上がった姿であるのに、人はなぜ木に快適さを覚えるのか。

 「知識や文化を羽織る前の人間の、生物としての記憶がそうさせるのではないか。生命体としての合理性が、人工物としての合理性に結び付いたとき、建築になる」。

 珊瑚樹をイメージしたオフィスビルの内部は、格子状の壁を立て、斜めに切り取った。歩調を変えると視野も変わり、まるで万華鏡の中を進んでいるような感覚に襲われる。まったく斬新でありながら、幼い頃の夢で見たような既視感を覚える。

 ある夫婦二人の個人住宅は、キャベツの葉と葉のあいだの空間に倣った。それぞれの居室は独立しているようで、上下左右のどこかがつながっていて、必ず隣の一部が見える。遠くて近い距離感を演出している。

 「人間関係は空間によって変化する。現代の建築家の仕事は、色にたとえれば、白と黒を決めつけるのではなく、限りなく広がるグレーをコントロールするようなもの」

(『週刊ダイヤモンド』編集部 遠藤典子)

平田晃久(Akihisa Hirata)●建築家 1971年生まれ。94年京都大学工学部建築学科卒業、97年同大学院工学研究科修了。伊東豊雄建築設計事務所を経て、2005年平田晃久建築設計事務所設立。08年日本建築家協会新人賞など受賞多数。

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