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加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!Ⅱ」思考停止のニッポンをぶった切る

犬に追われF・D・Rに触れた新年ハドソン修行!
2013年は「こだわり」と「余裕」で駆ける!

加藤嘉一
【第15回】 2013年1月7日
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脳をリセットする恒例の修行

1年の始めは、ニューヨーク州郊外のHudson River Valleyで過ごした Photo by Yoshikazu Kato

 新年、明けましておめでとうございます。2013年が読者の皆さんにとって健康で、充実した時間になることを祈っております。本年も引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 私は年末年始を米ニューヨーク州Hudson River Valleyという地域で送っている。ボストンからバスを乗り継ぎ、5時間ほどで到着。ニューヨークシティーまでも2時間半ほどの距離である。

 悠久に流れるハドソン河の畔は、歴史を感じさせる。人々は決して急がず、時間がゆったりと流れている。自分たちの生活のリズムを崩さない。この地域に移民してきた、ある高齢の女性が私に言った。

 「米国に来て、他人の自由を奪うことほど失礼なことはないと知った」

 アメリカ合衆国の真髄を垣間見た気がした。

 この地に来たのは、恒例の修行のためだ。年末年始は、私にとって1年の間で最も静かに過ごす時間である。基本的に人には会わず、話もしない。ただひたすら座禅を組み、脳を無にする。有になり、無の境地へたどり着けなくなると、坂道ダッシュをするか読書に励み、疲れてきたらまた座禅に戻る。こうして1年を振り返り、これからの1年に挑んでいくための気力と体力を養う。

 1月2日の夕方、ハドソン河に沿った公道を走っていると、右側の10メートル程離れたプライベートハウスの番犬二匹と目が合った。グレーとブルーが混ざったような毛色で、体長が1メートル以上ある大柄な犬だった。二匹は全く動かず、こちらを凝視しているから、最初は銅像かと思ったほどだった。

 5秒ほど見つめて、視線を前方に移した直後、二匹は私のほうへ向かって走り始めた。私は持てる力を振り絞って全力疾走で逃げたが、あっという間に追いつかれ、二匹に体当たりされてしまった。ペースを緩め、二匹を宥めようとするが、二匹は吠えたり、体当たりしたりするのを止めず、表情が険しくなっていった。

 「噛み殺される」と本気で悟った次の瞬間、前方から突如白い乗用車がやってきて、中年の男性が下りてきた。すぐに二匹は恐縮し、ゆっくりと私から離れ、引き返していった。男はどうやらあのハウスの主であるらしい。

 命拾いした。辺り一面の雪景色で、気温はマイナス10度くらい。全身は冷や汗でびしょびしょだった。

 心拍数を整えながら、汗を払いながら、約7キロの山道を走った。恐怖から体は震え、ペースも上がらない。しかし、徐々に正気を取り戻すと、気分が晴れ、不安や恐怖も吹っ飛んだ。渡米以来、ハーバード大学と自宅との行き来や海外出張だけで、研究・執筆に没頭している私にとって、こうした犬に追いかけられ、牙を剥かれ、冷や汗をかくことでさえ新鮮で、四六時中脳内を支配している研究のことを忘れさせてくれた。二匹の番犬は、私の脳をリセットしてくれた。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!Ⅱ」思考停止のニッポンをぶった切る

「だったら、お前がやれ!」

 この言葉が意味すること、それは「対案の無い無責任な批判はするな」ということだ。「自分はどう考えるのか」、そして「自分は具体的にどのような行動をとるのか――」。何かに意見するとき、加藤氏は必ず自らに問いかける。加藤氏の行動規範としているものだ。
日本社会に蔓延る無責任な論評を、加藤氏の視点で切り込み、加藤氏なりの対案や考え方を示してきた本連載のシリーズ第2弾。2012年8月に加藤氏が拠点を中国北京から、米ハーバード大学ケネディースクールへ移し、新たなチャレンジをスタートさせる。2012年4月から8月までの第1弾とはひと味違う、加藤氏の言葉をお届けする。

「加藤嘉一の「だったら、お前がやれ!Ⅱ」思考停止のニッポンをぶった切る」

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