世帯年収は1600万円、年間支出は800万円ですから、年間黒字額は800万円です。この金額を全て貯蓄に回すと、今後5年間で4000万円の金融資産が上乗せされます。

 ここで少し、現在の金融資産についても整理します。総額は1億1000万円とのことですが、「相続税は700万円程度の予定」という注意書きが気になります。詳細は分かりませんが、Yさんのご両親どちらかが亡くなった際、相続時にこの金額を負担するということでしょうか。

 今回は、この相続税を事前に資産から差し引き、現在の貯蓄が1億300万円だという前提で話を進めますね。

 話を戻すと、この金額に前述の4000万円が加わることから、ご主人が65歳時点での貯蓄額は最低でも1億4300万円まで増えているはずです。

 さらに、Yさんが経営中のアパートを売却予定なのも見逃せません。アパートを売却した場合、少なく見積もって2000万円のお金が入ってくる予定と書かれています。

 ご主人が65歳になるまでにアパートを売った場合は、貯蓄額に2000万円がプラスされ、1億6300万円まで積み上がります。

 しかし念のため、娘さんの学費がかさむことも考えておきましょう。冒頭にも書いた通り、前述の相談内容からは、年間支出に長女の学費が含まれているかが分かりませんでした。今回は一応、学費の負担が上乗せされることを想定して試算を進めます。

 娘さんは19歳なので、大学1年生の終わりか2年生の途中ですね。今回は便宜上、あと3年間、年間100万円の学費を払う予定で試算します。そうすると、ご主人が65歳になった時点での金融資産額は、1億6000万円となります。ご主人には退職金がないので、この金額がYさん夫婦の老後の全財産です。

(注:生命保険は支給の時期が読めないことと、自宅マンションは子供たちに相続することを考慮し、今回の試算には含みませんでした)