リセッションの環境下では、モダナイゼーションへの投資はいったん凍結してもいいのかもしれません。しかし社会が大きく変動する中で、何を事業として作り上げていけばよいかという部分は、むしろ仮説検証を続け、クリエイティブかつイノベーティブに進める必要があります。それを担うのがプロダクトマネージャーの仕事です。

 コロナ禍を経て、ウクライナ紛争やインフレーションなど、今後のことは誰にも分からない状況下、ますますプロダクトマネージャー、プロダクトマネジメントは重視されるようになるでしょう。

コロナ禍で加速した
回転ずしチェーンのデジタル変革

 日本に目を転じると、コロナ禍で苦境に陥った業界の最たる例である飲食業が生き残りをかけてDXを加速させています。分かりやすい例として、回転ずしチェーンやファミリーレストランが挙げられます。

 回転ずしのように薄利多売の飲食業では「FLコスト」、つまり食材(Food)と人(Labor)の費用の抑制が、いかに利益を確保できるかの決め手となります。しかし食材費をケチって、おいしくなくなっては本末転倒。特にすしの場合、ネタの良しあしが味に直結するので食材の質を下げられず、それがコストとなります。

 一方、人件費については、コロナ禍において「できるだけ非接触でいたい」というニーズが店側と訪れる顧客側とで一致したこともあり、フロアに人を配置しなくても店が機能するように、オペレーションの効率化が図られました。

 人気回転ずしチェーンの3社、スシロー、くら寿司、はま寿司については、どのようなDXの取り組みが行われているのか。私自身、勉強のため、実際に3社の店舗へ行ってみました。