VUCAの時代に求められる
プロダクトマネジメントの考え方
私は、プロダクトマネジメントに携わる人たちの情報共有と交流の場として、「プロダクトマネージャーカンファレンス」というイベントの運営に2016年から関わっています。2016年当時はテクノロジー企業、特にウェブ系・ネット系のスタートアップの参加が中心でした。それが一昨年ぐらいから、一般企業からもセッション公募への応募が目立つようになっています。
これはつまり、一般企業がプロダクトマネジメントを活用するようになってきているということでしょう。また、プロダクトマネージャーの人材募集・育成も一般企業が手がけるようになってきています。
IT分野を中心に調査分析・コンサルティング業を営むガートナーは、守りのITである「モード1」と攻めのITである「モード2」の2つのITのモード、「バイモーダルIT」を提唱しています。オンプレミスの基幹システムをクラウド化して、コスト削減や高冗長性を実現するといったITモダナイゼーションは、モード1的な動きです。
ですから、モード1でやるべきことはとても明確です。一方、モード2は、事業そのものをデジタルでつくろうという話であり、簡単に言えば新規事業を起こすことです。
今のように混沌(こんとん)として変化も激しく、不透明で複雑な「VUCA(ブーカ)*」の時代においては、誰が何を必要としているかを探し出すことが非常に難しくなっています。もし見つけられたとしても、顧客がどんどんニーズを変化させていくため、時代に合ったかたちに柔軟に変化し続けなければなりません。
そのためには、単純で分かりやすいものを無難にシステムとして組み上げるのではなく、顧客を理解し、顧客に合ったかたちにプロダクトをつくり、さらには何度も仮説検証を繰り返しながら進化し続けることが求められます。これはプロダクトマネジメントの考え方、そのものです。