しかし、李華泳・元京畿道副知事は裁判の過程で「対北朝鮮送金に関する内容を李在明氏に報告した」と検察に供述したことが明らかになり、これまでの供述を覆した。

 サンバンウルのキム・ソンテ元会長も「李元副知事から『李在明氏に報告した』との話を聞いた」と法廷で証言した。対北朝鮮送金の過程が詳しく記載された国家情報院の文書も押収され、李華泳元副知事はこれ以上否認することは難しいと判断したようである。

 検察は李在明氏が関与しているとみて第三者供賄容疑で立件した。

処理水放出の反対運動は
国民レベルの支持を得られず

 断食闘争の表向きの目的である処理水放出への反対に、断食闘争は効果を上げていない。断食闘争を始めてから、むしろ反対集会への参加者は激減しており、結局のところ今の断食闘争は、自身が逮捕されないよう自己防衛を図ることが主眼になってきている。部下が逮捕され、自殺者まで出ても自分の身は守るというのが李在明氏である。

 李在明代表は、自ら処理水放出への反対運動を主導、国会外で集会を重ね、諸外国にその危険性を訴え、自らも断食活動を行ってきた。しかし、場外集会の参加者は最初の8月24日の放出時こそ7000人ほど(注:韓国で大規模集会と言われるのは少なくとも10万人規模)であったが、参加者は徐々に減り、2週間後の前回は約2000人と言われている。

 また、水産物市場のにぎわいにも大きな変化はなく、処理水放出反対運動は国民レベルの支持を得ていない。

 それにもかかわらず李在明氏が体力的に限界に近づいても断食闘争にこだわるのはなぜか。李在明氏逮捕の国会同意案を否決するためには、他に道はなくなったからであろう。

李在明氏と民主党は
不逮捕特権放棄を表明

 民主党は国会議席(297)のうち167議席と過半数を握っているので、逮捕同意案が否決されるとみるのが順当であった。

 しかし、李在明氏については、城南(ソンナム)市長時代の数々の不正疑惑を巡り、今年2月に検察が国会に逮捕状を請求したが、民主党の反対で同意案は否決された。それについて、国民から不逮捕特権の乱用だとの批判が出ている。また、民主党の有力議員が数十億ウォンの暗号資産を保有していることが明るみに出て党の支持率が下がったことも危機感につながった。