このため民主党は5月に「革新委員会」を立ち上げ検討した後、議員全員の不逮捕特権の放棄を党の「決議」として採択した。さらに、これを踏まえ、李在明氏自身も不逮捕特権の放棄を表明している。そのため、非李在明系から、逮捕同意案に賛成する議員も出てくるのではないかと懸念されていた。

 李在明氏は、ハンストで自らを限界まで追い込むことで党内の結束を高め、反対票を増やさざるを得なかったとの見方が高まっている。

李在明氏の政治活動の
中心は自己防衛

 李在明氏は、不正疑惑の高まりにより大統領選挙で敗北した。それから1年半、李在明氏にとっての政治は「自らの擁護」をいかに勝ち取るかに集中している。

 李在明氏は大統領選敗北から3カ月で国会議員補欠選挙に出馬した。憲政史上例のないことだが、これによって議員不逮捕特権を確保した。

 議員になって2カ月後には党代表選に出馬した。国会での多数党を掌握し、逮捕を避けるための仕組みは整った。そして1年間1日も欠かさず防弾国会(李在明氏逮捕を防ぐための会期続行)を開き続けている。李在明氏は不逮捕特権の放棄を公約したが、逮捕同意案が提出されると、不逮捕特権の陰に隠れた。

 民主党は党代表が起訴されても党代表職を維持し、一・二審で有罪判決を受けても総選挙に出馬できるよう党規約を改正した。

逮捕同意案が
賛成多数で可決

 検察は18日、尹錫悦大統領の裁可を得た後、李在明氏の逮捕令状を請求した。国会議員の李在明氏には不逮捕特権があり、会期中に逮捕するには国会の同意が必要となる。逮捕同意案は20日の本会議で報告され、21日に採決された。その結果は149対136(棄権6、無効4)と賛成多数となり可決された。

 民主党は、李在明氏の血圧と血糖値が大幅に低下し、対話もままならず、健康状態が限界に近いとみている。朴賛大(パク・チャンデ)最高委員は記者団に「いつでも李代表にショックが来る可能性のある、非常に危険な状態である」と述べた。医療スタッフは「直ちにハンストを中断」するよう勧告したが、李在明氏はこれを拒否していた。

 逮捕状が請求された同日、19日間の断食中だった、李代表は、健康悪化を理由に病院に搬送された。李代表は国会近くの汝矣島(ヨイド)聖母病院に緊急移送され、応急手当てを受けた後、ソウル中浪区のリハビリ病院・緑色病院に再移送された。