どの世代が損をしたか?氷河期部長&課長の憂鬱 出世・給料・役職定年#9Photo:PIXTA

訪日外国人客が戻り、足元の業績が好調な高島屋と三越伊勢丹ホールディングス。ただ、人口減少や消費動向の変化など取り巻く環境が厳しく、社員は先行きを見通せずにいる。三越伊勢丹と高島屋の待遇はどちらが上なのか?出世の構図はどのように違うのか?特集『どの世代が損をしたか?氷河期部長&課長の憂鬱 出世・給料・役職定年』の#9では、課題に直面する社員の声を紹介するとともに、部長・課長の年収事情に実額を紹介しながら迫る。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)

訪日外国人バブルに沸くも
市場縮小で社員にしわ寄せ

 物価高や円安ドル高で、業界の明暗が分かれる中、好業績を維持しているのが百貨店だ。新型コロナウイルス感染拡大が和らぎ、移動制限が解除されたことで内需が回復。さらに円安効果もあって訪日外国人客の「爆買い」が業績を押し上げた。

 高島屋は10月に2024年2月期の連結業績予想を上方修正し、本業のもうけを示す営業利益を前期比15.3%増から、35.3%増に引き上げた。

 三越伊勢丹を傘下に持つ三越伊勢丹ホールディングス(HD)も好調で、2024年3月期連結営業利益は統合以降過去最高を見込む。高島屋は来年7月末で岐阜店を閉店すると発表し、三越伊勢丹HDも郊外店の閉鎖を進めるなど、近年は地方店の苦境ぶりが目立つが、都心部の売り上げが全体をけん引している格好だ。

 訪日客バブルで沸く百貨店業界だが、インターネット販売の台頭などでマーケットは縮小しており、現場で働く社員の待遇にも波及しているようだ。

 次ページでは、2社の年収や部課長へ出世するタイミングを比較するとともに、課題に直面する現場の社員の声を紹介する。