NTT帝国の奇襲#9Photo:Europa Press News/gettyimages,NurPhoto/gettyimages

NTTが、2018年から推し進めてきたグループ再編が最終局面に入った。けん引してきたのは、“破壊者”と呼ばれた澤田純会長とその “継承者”である島田明社長だ。NTTドコモの完全子会社化に続き、足元ではNTTデータグループの海外事業の再編が本格する中で、次の一手として「5つのテーマ」が浮上した。特集『NTT帝国の奇襲』の#9では、経営幹部の取材を通じて「NTTグループの完成形」の姿を大胆に予想する。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

澤田・島田政権のグループ再編
次なる一手と「最終形の青写真」

「自分が構想したものは大体終わっている。ただし、環境がどんどん変わっているので次にどんな手が打てるか。それは島田さん達、現経営陣の課題だ」――。

 NTTの澤田純会長は、自身が社長就任時の2018年から推し進めてきたグループ再編がほぼ完了し、次のステージに入っているとの認識を周囲に語っている。22年6月に社長を退いた澤田氏は、代表取締役会長兼取締役会議長として、グループ再編を監督する立場にいる。

「強いNTT」を復活させる――。澤田氏が描いた「NTTグループの大再編」を伴うこの構想を引き継いだのが、島田明社長だ。今回の組織再編は、1999年にNTTグループが持ち株会社体制へ移行した時以来の大掛かりな改革である。当時、NTTグループは事業ごとにNTT、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズ(コム)の4社に分割・再編成された。

 澤田氏は社長時代に、聖域化していた組織再編を次々に仕掛けた。海外事業の再編やNTTドコモの完全子会社化を断行。NTTデータ(現NTTデータグループ)の傘下に海外事業を集約する方針を打ち出したのを最後に、社長の座を島田氏に譲った。

 目下のところ、二つの巨大企業――、ドコモとデータグループの再編は道半ばの状況にある。島田社長は、NTTグループをどのような最終形に着地させようとしているのだろうか。ダイヤモンド編集部はNTTグループの経営幹部らに取材を敢行し、「グループ再編の完成形」の姿を大胆に予想した。

 次ページでは、最終形の青写真を明らかにする。同時に、組織改革を進める過程で浮上した「五つの重大課題」についても取り上げる。