NTT帝国の奇襲#12写真提供:朝日新聞社

政府に3分の1以上の株式保有を義務付けているNTT法をめぐり、通信業界が大混乱に陥っている。自民党が「2025年の通常国会で廃止する」と提言したことを支持するNTTに対し、KDDI、ソフトバンク、楽天グループの競合3社の反発はピークに達している。業界の分断が深まる中で総務省は、法案整備の議論に入った。特集『NTT帝国の奇襲』の#12では、これまでの取材を基に、業界内の足の引っ張り合いで争点の見えにくくなった「NTT法廃止」の問題を徹底解説する。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

「NTT vs 競合3社」の泥沼対立で
本質が見えづらい「NTT法廃止」の課題

 自民党が12月5日に「NTT法は2025年の通常国会をめどに廃止する」との提言をまとめたことで、NTT法を巡る攻防は第2幕に入った。自民党のプロジェクトチーム(PT)で行われていた議論は、総務省の有識者会議の場に移っている。

 総務省は12月22日、情報通信審議会(総務相の諮問機関)の通信政策特別委員会の会合で、第1次報告書案を提示した。NTT法の規制のうち「研究成果の開示義務の撤廃」と「外国人役員規制の緩和」の2つについて速やかに実施すべきだと指摘する内容だ。

 早くも自民党の提言と総務省の意見が一部で一致した格好に見えるが、総務省はNTT法の廃止を求める自民党の提言を全面的に支持しているわけではない。

   一方の自民党は、こうした総務省の「抵抗」を見透かして、提言の内容に従って政府が法案整備の作業を行っているかどうかを厳しくチェックしていく方針だ。それを担当する「NTT法のあり方を検討する特命委員会」の委員長には、PT座長として提言をまとめた甘利明・前幹事長が“お目付け役”として就任した。

  甘利氏は「自民党の提言が“うやむや“にされないよう総務省をしっかりフォローアップする」と意気込む。今後総務省は、自民党の厳しい監視の下で「25年のNTT法廃止」に向けた法案整備の作業を進めていくことになる。

   一方で、NTT法廃止を巡っては、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの競合3社の「絶対反対」の主張にNTTが反論するという「NTT vs競合3社」の泥沼の対立が深まる中で、何が議論の焦点なのかが見えづらくなっている。

   次ページでは、そうした対立の“ノイズ”を取り払って「NTT法廃止問題」の本質を解き明かし、これから本格化する議論のポイントを徹底解説する。