(1)正しい飲み方
〜オンザロックが密かに軽蔑されるワケ〜

 ウィスキーに力を入れたバーでは、店主と客が、オンザロック(氷を入れたグラスに酒を注ぐ飲み方)でウィスキーを飲む客を密かにばかにしている。

 ウィスキーは香りを楽しむお酒なのに、温度を下げて香りを殺すからだ。

 通常のテイスティングは、香りだけを楽しむ→口中に当たった感じの印象を楽しむ→口の中で味わう→飲み込んだ後の戻り香を楽しむ、と進むが、最後が問題だ。

 リスクを取って、それでもストレートにするか、常温の水で1:2、ないし1:3、あるいはそれ以上に割るかどうかは、あなたの問題だ。

 一般に欧米の常識では、完成品のお酒を薄めて飲むことは例外的だ。しかし、ウィスキーの場合は度数が高いし、特に日本人は高い度数に強くない。

 この状況を前にしたときに「ロックで頼む!」というオーダーは、お酒は濃いし、香りは殺すしで、何もいいことがないのだから、「分かっていないなあ」と思われてしまうのだ。

 なお、ウィスキーをソーダ(炭酸水)で割ったハイボールについては、(5)で後述したい。

(2)価格

 息子世代に向けたメッセージとして筆者は、「友人たちが飲んでいるものよりも1クラスいいものを飲め」と伝えている。

 サントリーのラインナップで伝えるなら、友人たちが「角瓶」を飲んでいるなら、自分一人で飲むときには「白州」や「山崎」のノンエイジ(年数表記なし)を飲むイメージだ。