Photo by Ryosuke Shimizu
「これまでの国家プロジェクトの対象範囲を広げられないか」
経済財政政策の基本方針「骨太の方針」策定に向けて、全省庁が6月をメドに盛り込む内容を練っている。そんな中、三菱重工業や日立製作所、東芝といった重電メーカーが経済産業省に足を運び、悩みを打ち明けた。
民間では開発コストやリスクを丸抱えすることが難しい、最先端の技術開発に国の予算をつける。この国家プロジェクトで開発した最新技術を、重電メーカーが活用するのは何も珍しい話ではない。
代表的な例として、「J形」と呼ばれる三菱重工の最新鋭大型ガスタービンが挙げられる。
主に火力発電所で用いられる大型ガスタービンは、燃料を燃やす入り口の温度が高ければ高いほど、効率よく電力を生み出せる。そして、J形は国家プロジェクトの支援もあり、1600℃という世界最高レベルの温度を達成した。
このJ形の投入以後、三菱重工は大型ガスタービンにおいて、世界シェアの巻き返しに成功。さらに1700℃を目指した新たなプロジェクトもスタートしている。
同様に、日立や東芝なども石炭火力発電などの分野で、国家プロジェクトの世話になっている。
それにもかかわらず、冒頭のように重電メーカーが総出で経産省詣でをしたのには理由がある。
これまでは初期段階の基礎研究が中心だったが、重電メーカー側は「より商業化を意識した、実証実験に近い範囲まで含めたサポート」(経産省幹部)を熱望しているという。