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エコカー大戦争!

海外で相次ぐ有力EVベンチャー経営破綻に学ぶ
「投機筋案件」と「製造業案件」の見分け方 

桃田健史 [ジャーナリスト]
【第155回】 2013年7月8日
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話は大きく、現実は厳しく
やはり、もたなかった……

 この1~2ヵ月、海外の有力EVベンチャー経営破綻が続いた。

 EV向け電池交換型インフラビジネスの「ベタープレイス」は5月26日、同本社機能があるイスラエルで会社清算の手続きを行なったと発表した。その半月後、スタンフォード大学の城下町、カリフォルニア州パロアルト市郊外にあった同社創業地であり元本社、後の米国法人の所在地を訪ねてみた。だが、同社の形跡は全く残っていなかった。

 ベータプレイスについては本連載で、2009年に日本法人社長のインタビュー、2010年には東京都内での実証試験の模様を紹介した。その後も世界各地で同社について取材してきた。そうしたなかで、多くの自動車業界関係者は同社について、事業内容が「製造業案件」でないこと、さらには日本が推奨する急速充電方式「CHA de MO」と競合することから、「異端児」というレッテルを貼っていた。なかには、「眉唾モノ」と表現する人もいた。

 同社のビジネスモデルは、EV向け電池の交換型充電インフラの普及だ。その第1ステージは「大きな風呂敷を広げること」だった。世界各国のEV関連・エネルギー関連のシンポジウムやカンファレンスで「EV理想郷」をぶち上げた。

 第2ステージは、政府バックアップによる「華々しい実証試験」だった。日本、イスラエル、ノルウェー、デンマークなど、一般的にEVへの関心が高く、また政府や自治体からの多額の補助金が確保しやすい国に焦点を合わせた。日本での実証試験では環境省からの補助金を受けて行われた、横浜と東京の「電池交換ステーションデモ」にメディアが群がった。

 そして第3ステージは、同社の運営資金の基盤であるイスラエルをベースとし、北欧、中国など、自動車産業の成長の余地が大きな国で「事業の見える化をさせること」。

 さらに第4ステージが先進国での普及だった。しかし、中国政府のEV施策「十城千両」の失速や、先進国でのEV需要が自動車産業界全体としての当初見込みを大きく下回ったことなどから、「ベタープレイス」事業は第3ステージで破綻した。

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桃田健史 [ジャーナリスト]

日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなど米国レースにレーサーとしても参戦。自動車雑誌に多数の連載を持つほか、「Automotive Technology」誌(日経BP社)でBRICs取材、日本テレビでレース中継番組の解説などを務める。1962年生まれ。著書「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」好評発売中


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