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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

学習とは自己啓発による精神の錬磨である

上田惇生
【第110回】 2009年1月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
すでに起こった未来
ダイヤモンド社刊
2415円(税込)

 「18世紀の禅の高僧、白隠慧鶴は、禅の始祖達磨を描くのにどれだけの時間を要したかを聞かれて、80年と十分と答えた」(『すでに起こった未来』)

 ドラッカーは、レンブラントの最後の自画像や、モネの光や、カザルスのバッハが、80年の歳月を要したと言えば、西洋では、技術の水準を達成するために80年の練習が必要だったという意味になると言う。

 だが、日本人が80年を要したと言えば、達磨を描ける人間になるための精神的な修行がそれだけ必要だったということになると言う。

 さらにドラッカーは、禅では、達磨は自画像だと言う。何十年も修行をしなければ、達磨を描ける人間にはなれない。

 ドラッカーは、一つの仕事に秀でた芸術家や職人に与えられる称号として、人間国宝の制度を紹介する。日本では、技能は高原に達し、そこで止まるという西洋流の習熟曲線の理論は受け入れられない。高原を突き抜け、次の高原に達すると考える。

 学習とは、自己啓発による精神の錬磨であって、技能習得のためだけの行為ではない。それは人間を変えるものである。

 そのドラッカーが、今日の日本では、洞察と英知が危機に瀕していると危惧する。

 「はたして日本は、今なお精神的人物画としての達磨を描き『どふ見ても』と言えるようになるための学習を取り戻し、学習を本来あるべきものとすることはできるだろうか」(『すでに起こった未来』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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