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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

組織に働く者を囲む現実は
成果を要求しながら成果を困難にする

上田惇生
【第353回】 2013年10月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
1890円

 「通常、組織に働く者は、自分ではコントロールできない四つの大きな現実に囲まれている。それらの現実は、いずれも組織に組み込まれ、日常の仕事に組み込まれている。彼らにとっては、それらのものと共生するしか、選択の余地はない。しかも、四つの現実のいずれもが、仕事の成果をあげ、業績をあげることを妨げようと圧力を加えてくる」(ドラッカー名著集(1)『経営者の条件』)

 第1の現実は、時間はすべて、人に取られてしまうことである。組織はすべて、時間泥棒の巣窟と見て間違いない。時間泥棒は、人の時間を泥棒しながら、泥棒しているとの意識がない。何度でも、繰り返し、人の時間を奪っていく。

 しかも、顧客、協力会社、上司、部下、地域、マスコミなど、大事な人ばかりである。

 第2の現実は、日常の業務に取り囲まれていることである。日常の業務は、あとからあとからわいてくる。泥沼に這い込んだようなものである。

 何が重要な問題なのかを知らなければならないのに、日常の業務は、それさえ教えてくれない。

 第3の現実は、組織として人とともに働いていることである。自分の成果を成果たらしめてくれるのは、人である。人が自分の成果を使ってくれて、初めて自分の仕事が組織としての成果となり、組織への貢献となる。

 第4の現実は、組織の内において働いていることである。誰もが、自らの属する組織の内部を直接的な現実とする。たとえ、外を見たとしても、「厚くゆがんだレンズを通してである」。

 成果は、組織の内部には存在しない。内部に生じるものは、努力とコストだけである。

 ところが、最もよく見えるものは、常に内部の世界である。常に耳にするものは、組織内部の人間関係や摩擦、問題や課題、反対やうわさである。

 「組織に働く者は、必然的に組織の中で仕事をする。したがって意識的に外の世界を知覚すべく努力しなければ、やがて内部の圧力によって、外の世界が見えなくなる。四つの現実は変えることができない。それらは、避けることのできない状況である。したがって、成果をあげることを学ぶべく、特別の努力を払わないかぎり、成果はあげられないことを知らなければならない」(『経営者の条件』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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