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山下一仁の「農業立国論」

農業にこそTPPは必要
このままではコメは安楽死

山下一仁 [キヤノングローバル戦略研究所研究主幹/経済産業研究所上席研究員(非常勤)]
【 第3回】 2013年12月11日
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自民党や国会の委員会は、コメなど5品目を関税撤廃の例外とし、これが確保できない場合は、TPP交渉から脱退も辞さないと決議した。だが、関税撤廃による米価の低下で本当に困るのは農協なのだ。関税を撤廃し減反政策をやめ、直接支払方式に転換すれば、米価が下がって消費者負担は軽減し、コメ輸出拡大の道も開ける。

問題の本質は“TPPと農協”

 自民党や国会の委員会は、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖などを関税撤廃の例外とし、これが確保できない場合は、TPP交渉から脱退も辞さないと決議した。農業票が気になる国会議員にとっては、関税維持が国益のようだ。

 しかし、関税で守っているのは、国内の高い農産物=食料品価格だ。農家保護のために、国際価格よりも高い農家保証価格を維持するためには、関税が必要となる。

 コメを例に取ろう。関税で国内市場を国際市場から完全に隔離しているので、国内の需要と供給で決まる市場価格は国際価格よりも高くなる(今は国際価格が上昇しているので、下回る可能性も出てきた。これについては、次回、詳しく述べる)。さらに、減反で供給を減少させるので、国内価格はさらに高くなる。消費者は、関税と減反で二重の負担をしている。

 それだけではない。コメの場合はほぼ100%自給しているが、麦、砂糖、牛肉など他の農産物については、相当量の輸入が行われている。消費者は、国産農産物だけでなく輸入農産物についても、高い価格を負担している。例えば、消費量の14%に過ぎない国産小麦の高い価格を守るために、86%の外国産麦についても関税を課して、消費者に高いパンやうどんを買わせている。

 多くの政治家は、貧しい人が高い食料品を買うことになるとして、消費税増税に反対した。食料品の軽減税率も検討されている。その一方で、関税で食料品価格を吊り上げることは、政治家にとって国益なのだ。

次のページ>> TPPで困るのは農協
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山下一仁 [キヤノングローバル戦略研究所研究主幹/経済産業研究所上席研究員(非常勤)]

東京大学法学部卒業。同博士(農学)。1977年農水省入省。同省ガット室長、農村振興局次長などを経て、2008年4月より経済産業研究所上席研究員。2010年4月よりキヤノングローバル戦略研究所研究主幹。主著に『日本の農業を破壊したのは誰か―農業立国に舵を切れ』(講談社)、『企業の知恵で農業革新に挑む!―農協・減反・農地法を解体して新ビジネス創造』(ダイヤモンド社)、 『農協の大罪』(宝島社新書)、『農業ビッグバンの経済学』(日本経済新聞出版社)、『環境と貿易』(日本評論社)など。


山下一仁の「農業立国論」

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉が大詰めを迎えている。TPP反対派の一大論拠は、TPPを認めれば、日本の農業が崩壊して、食料自給率の低下を招き、食の安全が脅かされるというものだ。しかし、今の農業や農村は都会人が抱くイメージとは全く異なっている。農政や農協がこうしたイメージを活用して自らの既得権益を守ってきた結果、日本の農業は衰退の道を歩んできた。農業問題で当代随一の論客であり、農業界でも“農業ビッグバン派”のリーダ―と言われる山下一仁キヤノングローバル戦略研究所研究主幹が、農業の発展を阻害してきたこれらの要因を明らかにし、そのくびきから解き放たれれば、農業立国は可能なことを明らかにする。

「山下一仁の「農業立国論」」

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