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病める巨艦・日立製作所がなぜ電機の勝ち組に?
改革派に学ぶ大企業の「諦めないイノベーション」

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第309回】 2014年1月14日
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「改革派3代目」を襲名する東原新社長
電機業界の勝ち組となった日立の快進撃

 1月8日、日立製作所は東原敏昭氏が中西宏明氏の後を受けて、次期社長に就任する人事を発表した。それに伴い、今年4月1日付で、中西・現社長は会長兼最高経営責任者(CEO)に就任する予定だ。

 今回の人事によって、今まで中西社長と川村会長が二人三脚で進めてきた日立製作所グループの改革を、今後中西・東原コンビが継承することになる。東原氏は、日立の改革を本格的に進めた川村、中西の両氏から数えて“改革派三代目”を襲名することになる。

 従来日立は、良い意味でも悪い意味でも、わが国を代表する大企業と言われてきた。高い技術を持つ優秀な人材を多く抱え、国内の情報関連事業から家電製品までの広いプロダクトラインを持ち、安定して経営を行ってきた。

 そうした安定性の一方、企業の意思決定に時間がかかり、経済環境の変化に迅速に対応することが得意ではなかった。その結果、不採算部門の整理などが思ったように実行できず、日立グループ全体の収益性が低下傾向を歩んだ時期が長く続いた。

 リーマンショックの翌年となる2009年3月期、日立グループの連結赤字は約7900億円にまで膨らんだ。当時は、「巨艦日立危うし」と囁かれたほどだ。そうした状況下、会長兼社長として復帰した“改革派一代目”の川村氏が、前例のない思い切った日立グループの改革の着手した。

 2010年に川村氏は会長専任となり、“改革派2代目”である中西氏が社長に就任した。川村―中西ラインは、情報通信と社会インフラを日立グループの中核事業と位置付け、グループ事業の改革を進め、現在ではわが国電機業界の“勝ち組”と評価されるに至っている。

 川村氏の回顧によると、2009年当時、日立は本当に大変な状況に追い込まれていた。それは、ただリーマンショックで重大な痛手を受けただけではないだろう。むしろ、それまで長い期間にわたって蓄積されてきた一種の“大企業病”の方が、より大きな要因だったかもしれない。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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