斎藤顕一の営業プロフェッショナル養成講座
【第15回】 2014年7月25日
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斎藤顕一  [ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授、同大学院経営学研究科教授]

営業のバリューチェーン:
部下を育成して成果を上げる【2】 [本質的問題解決Q&A]

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バリューチェーンとは「会社が価値を生み出すために行う事業の大きな流れ」です。その各構成要素が競合より強力であれば競争力が増してシェアも売上も伸びます。これを営業活動全体に当てはめ、強みを伸ばし弱みを克服する方法が、すなわち部下の営業活動に対する有効なアドバイスになるのです。


Question


新卒で電機メーカーに就職して地方の営業、首都圏の法人担当を経験して、今年マネジャーに昇格しました。本部長、部長、課長とこれまで数十人のマネジメントを見てきましたが、部下から見て良いマネジャー・悪いマネジャーはっきりしています。それは、どうすればいいかを具体的に指摘してくれるかどうかです。良いマネジャーについている時は自身の成長を実感できました。自分の癖や考え方を理解したうえで方向性を示してくれたと感謝していますが、いざ部下を持つと、それぞれの個性を生かした指導というのは難しいものです。昇進して3ヵ月経つのに、部下の行動分析すらできない有様です。どのように考え指導すればよいのでしょうか。
(質問者:、電機メーカー、男性、32歳)


Answer


 今回は、前回説明した営業活動の流れに従って、自部門で生じている問題点を明確にし、解決法を導き出すアプローチについて考えてみましょう。

 前回説明したように、部門業績が良いか悪いかは、優秀な営業スタッフをどれだけ抱えているかで左右されますが、もう一つ重要な条件があります。それは、マネジャーの考え方やマネジメントスタイルです。優れた業績をあげていた営業部門がマネジャーの交代によって業績悪化に陥る例はけっして珍しいことではありません。

 これについて、前回取り上げた「営業のバリューチェーン」を基に考えていきたいのですが、その前に、質問者に尋ねたいことがあります。

 「あなたは自部門の業績について知っていますか?」

 もちろん、「知っている」と答えることでしょう。では、次の質問はどうでしょう。

 「過去5年、10年の部門の売上成長率を知っていますか?」
 「前年度の月別の業績を知っていますか?」
 「製品別の成長性を知っていますか?」
 「今期の部門全体と製品別の粗利率や営業利益率の推移を知っていますか?」
 「営業スタッフ全体の生産性の変化を知っていますか?」

 これらの問いに対し正確に答えることはできないのではないでしょうか。

 なんとなくイメージはつかんでいるでしょうが、こうした業績推移をチャートを書いてビジュアル化して、そこから自部門にどんな変化が起こっているかを理解しようとしたでしょうか。

 なぜ、そのようなことをそこまで知る必要があるのか、と思われるでしょう。それは、自部門の業績変化を主要な数値(Key Performance Indicator=KPI)で押さえることで、自部門の問題の深刻さを理解するためなのです。長期の業績変化を実際の数字で見ることで「部門のクセ」を理解し、月別の数字を追うことで「正しい営業活動が行われているかどうか」を理解するのです。

 ともすれば、同じ取り組みを繰り返しがちなマネジャーにとっては、数字が改善しているのか、停滞しているのか、悪化しているのか、を正確に理解した上で、営業活動の方法にメリハリをつけることが重要なのです。

 私が営業コンサルティングをするクライアントも、売上高ひとつみても前月比や前年比を見るだけで結論を出そうとしがちなのですが、長期にわたって成長性、収益性、生産性の変化を理解しない限り、適切な資源配分や、バリューチェーンのどの部分を強化すべきかは見えてきません。数字はまさに活動の結果を表しているので、数字が期待通りの目標値を示していない場合は、数字を嘆くのではなく、営業活動のまずさを嘆くべきなのです。

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斎藤顕一 [株式会社フォアサイト・アンド・カンパニー代表取締役]
[ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授、同大学院経営学研究科教授]

マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社、パートナー、大阪支社副支社長を務め、1996年にフォアサイト・アンド・カンパニーを創業、現在に至る。経営コンサルティングに加えて問題解決のスキル研修を数多く手がけ、企業の業績向上に大きな成果を上げてきた。大前研一氏が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学において、経営学部および大学院経営学研究科教授。これまでBBTオープンカレッジ、学部、大学院の生徒や企業研修の生徒を合わせて、2万人以上の人たちに問題解決の考え方や実践の仕方、また成果実現の方法を教える。大前研一氏との共著に『実戦! 問題解決法』(小学館)、『大前研一と考える「営業」学』(ダイヤモンド社)がある。単著に『[新版]問題解決の実学』(ダイヤモンド社)がある。

 


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「営業の達人」のスキルは努力の賜物であり一朝一夕に身につくものではありません。でも実は、日々の営業活動のなかに、これを習得する近道があります。困っていること、わからないこと、迷っていること等々は「営業目標を達成するために最も重要な成功の鍵」です。これらの問題を「発見」し、「解決」することで、営業プロフェッショナルとしてのスキルが培われます。

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