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『ポスト資本主義社会』
ダイヤモンド社刊 2100円(税込)

 「知識労働のための組織は、今後ますます専門家によって構成されることになる。彼ら専門家は、自らの専門領域については、組織内の誰よりも詳しくなければならない」(『ポスト資本主義社会』)

 いまや先進国では、あらゆる組織が、専門家によって構成される知識組織である。

 そのため昔と違って、ほとんどの上司が、自分の部下の仕事を知らない。そもそも今日の上司には、部下と同じ仕事をした経験がない。彼らが若かった頃には、なかったような仕事ばかりである。したがって彼らのうち、部下たる専門家の貢献を評価できるだけの知識を持つ者もいない。

 いかなる知識といえども、他の知識よりも上位にあるということはない。知識の位置づけは、それぞれの知識に特有の優位性ではなく、共通の任務に対する貢献度によって規定される。

 かくして現代の組織は、知識の専門家によるフラットな組織である。じつにそれは、同等の者、同僚、僚友による組織である。

 そしてそのフラットな組織において、彼らの全員が、まさに日常の仕事として、生産手段としての自らの頭脳を用い、組織の命運にかかわる判断と決定を連日行なう。

 つまり、全員が責任ある意思決定者である。

 もっともドラッカーは、自分よりも詳しい者が同じ組織にいるようでは、専門家とはいえないと言う。

 「現代の組織は、ボスと部下の組織ではない。僚友によるチームである」(『ポスト資本主義社会』)

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上田惇生 [ものつくり大学名誉教授]

1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連会長秘書、国際経済部次長、広報部長、ものつくり大学教授を経て、現在同大学名誉教授。ピーター・F・ドラッカー教授の主要著作のすべてを翻訳。もっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。『プロフェッショナルの条件』ほかを編集。著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』などがある。ドラッカー学会初代代表。


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