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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

肥大化するNTTを、もはや誰も止められない
コスト削減活動が「徒労に帰す」これだけの理由

高田直芳 [公認会計士]
【第147回】 2014年12月19日
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 経済学では、企業が活動する市場を、「完全競争・独占的競争・独占」の3種類に分類して説明する。企業の数で定義するならば、「無数・少数・1社」になる。

 幹線道路では、数百メートルおきに、ガソリンスタンドが林立する。その店舗の数たるや、「無数」であろう。しかも、店頭に表示される価格は毎週のように上下動を繰り返すので、筆者は長い間、ガソリンスタンドを「完全競争市場」だと思い込んでいた。

 ところが、『クルーグマン・ミクロ経済学』473ページによれば、ガソリンスタンドは「完全競争市場」ではなく、「独占的競争市場」に属するのだという。「立地」が、独占的競争市場としての差別化条件になるそうだ。

 クリーニング店や美容室も、立地による差別化を図っている点で、独占的競争市場である、とクルーグマン教授は説明している。

 駅前の立地にこだわる企業もあれば、郊外にショッピングセンターを展開する企業もある。駅の公衆トイレの横に、理容室を展開する企業もある。これらはいずれも独占的競争を展開しているということだ。

独占的競争企業の共通項

 こうした「立地」に必然的に結びつくのは、「不動産」だ。

 管理会計や経営分析に関する書籍を参照すると「製造業は固定費型」「流通業は変動費型」と分類しているものがある。彼らが好んで用いるCVP分析(損益分岐点分析・限界利益分析)から導かれる分類なのであろう。

 しかし、そうした分類は、実務を知らない者が語る「机上の空論だ」というのが、筆者の立場である。

 郊外のショッピングセンターを訪れて、広大な駐車場に降り立ち、巨大な店舗を見上げたとき、眼前に広がるのはどう見ても「固定費のかたまり」である。流通業を変動費型と分類するのは、実務を知らないにもほどがある。

 実務家の観点から述べるならば、イオンやセブン&アイは食料品や日用品を扱う不動産業、セブン-イレブンは便利さを扱う不動産業、トヨタ自動車は完成車を扱う不動産業、東芝は電気機器を扱う不動産業、KDDIやソフトバンクは電波を扱う不動産業なのである。

 これらの企業は、不動産の上に独自のビジネスモデルを構築し、独占的競争市場で活動している企業(独占的競争企業)という共通項を有している。

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高田直芳 [公認会計士]

1959年生まれ。栃木県在住。都市銀行勤務を経て92年に公認会計士2次試験合格。09年12月〜13年10月まで公認会計士試験委員(原価計算&管理会計論担当)。「高田直芳の実践会計講座」シリーズをはじめ、経営分析や管理会計に関する著書多数。ホームページ「会計雑学講座」では原価計算ソフトの無償公開を行なう。

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公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略

大不況により、減収減益や倒産に直面する企業が急増しています。この連載では、あらゆる業界の上場企業を例にとり、どこにもないファイナンス分析の手法を用いて、苦境を克服するための経営戦略を徹底解説します。

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