クレームを取り巻く環境がますます厳しくなる中、対応する側はどうすればいいのか? まず「予防」、そして「リスク予測」を行い、「クライシス対策」を立てておくことが、特効薬のないクレーム対応において、パニックに陥らず、窮地に追い込まれないために必要だ。

クレームに対する「特効薬」は見つからない

 私がクレームで困っている人の相談に乗るようになって、今年で20年。警察を退職後、大手流通業の警備指導を皮切りに、企業や店舗、病医院、学校、あるいは公的機関などでクレーム対応や危機管理に従事してきた。

 その間、ショッキングな出来事も目の当たりにしてきたが、いま改めて振り返ると「クレームの“本質”はなにも変わっていない」というのが実感である。

 たとえば、雪印乳業(当時)の乳製品による集団食中毒事件(2000年)は、食品業界を震撼させたが、それはさまざまな食品への「異物混入」が相次いで報じられたからでもある。なかには、1匹のコバエの混入が明るみに出たことで、全面的な製造中止に追い込まれたケースもある。これは、今回の異物混入騒動に酷似した「過剰反応」ではないだろうか?

 クレームを取り巻く環境は、改善されるどころか、ますます厳しくなっていると感じる。先行き不透明な日本では、漠然とした「不安」が「不満」として充満し、そのはけ口を求めてクレームになる。そして、それはインターネットを介して拡散する。しかし、クレームに対する「特効薬」は見つからない――。

 では、どうすればいいのだろうか? まず考えてほしいのが、クレームを「予防」することである。