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黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

実力主義とはほど遠い!
嫉妬渦巻く「外資系パワハラ」の惨状(上)

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第10回】 2015年4月7日
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一見、フェアな印象のある外資系企業だが……
Photo:taka-Fotolia.com

 今回は、都内にある外資系のファイナンス系の会社(正社員150人ほど)で起きたパワハラを題材に、会社のホンネとタテマエを考えたい。

 外資系企業と言えば、「実力主義」「役割分担や権限と責任の所在などが明確」といったイメージがある。これらがタテマエとして、日本の社会に広く浸透している。しかし実際のところは、そうとは言えない場合が少なくない。

 そこで数ヵ月前に、この外資系のファイナンス系の会社をパワハラで辞めた男性(A氏とする。年齢は50歳。在籍中はIT担当部長)に、数時間に及ぶロングインタビューを試みた。A氏はこの会社で、日本人とアメリカ人の2人の執行役員の縄張り争いに巻き込まれ、心を病んだという。あなたの職場にも、このような「闇」がないだろうか。


うつになって、もう限界だった――。
「俳優崩れ」の役員が全力で潰しにくる

執行役員の執拗な攻撃でうつになり、会社を辞めた元IT担当部長・A氏。 「外資系パワハラ」の内情を語る

A氏 今年の2月に辞めたんですね。もう、限界だったから……。辞める数ヵ月前に診療内科で、うつ病の初期症状と診断されました。診断書をメールに添付して、直属上司であるアメリカ人(55歳)に送り、「辞めさせてもらいます」ってね。

 中途採用を経て45歳で入社し、始めの数年間はともかく、辞めるまでに1年半近くにわたり、「俳優崩れ」の日本人執行役員に徹底して潰された……。私のことを追い出してやろう、と全力でしたよ。すごいものを見ちゃったな、という感じで……(苦笑)。

筆者 「俳優崩れ」?

A氏 彼は、あの会社の管理部門の執行役員で、40代後半かな……。二十数年前、私立の難易度の高い大学の文学部を卒業し、名門の劇団に入ったみたい。だけど、鳴かず飛ばず。いじめられたみたいね。それで30代半ばになり、県会議員をする父親のコネであるファイナンス系の会社に入る。そこで上司から「中年になって、こんなこともできないのか?」とバカにされ続け、辞めたみたい。

 そのときまた父のコネを使い、あの会社に入った。もう、40歳。そんな劣等感もあったんだろうね。猛烈に社長にゴマをすったりして、5年くらいで執行役員になった。なぜか、課長からいきなり役員に。部長を経験していない。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

 ここ10数年の間に社会環境が大きく変わり、人々のホンネとタテマエに対する価値観が揺らぎ始めている。それを具現化しているのが、今の企業の職場ではないだろうか。これまでは、ホンネとタテマエが絶妙にバランスしながら、人間関係が維持されてきた。しかし、企業社会において生き残り競争が激化し、「他人より自分」と考えるビジネスパーソンが増えるにつれ、タテマエを駆使して周囲を蹴落とそうとする社員が増えている。

 誰もが周囲を慮らなくなり、悪質なタテマエに満ち溢れた職場の行きつく先は、まさしく人外魔境。そこで働く社員たちは、原因不明の閉塞感や違和感、やるせなさに苛まれながら、迷える仔羊さながらに、次第に身心を蝕まれて行く。この連載では、そうした職場を「黒い職場」と位置づけ、筆者がここ数年間にわたって数々のビジネスパーソンを取材し、知り得たエピソードを基に教訓を問いかけたい。

「黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史」

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