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黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

実力主義とはほど遠い!
嫉妬渦巻く「外資系パワハラ」の惨状(下)

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第10回】 2015年4月7日
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>>(上)より続く

A氏 それで、管理部門の役員である「俳優崩れ」とは、同じ執行役員ということもあり、深い関係にはなりたくなかったんでしょう。だから、2人で互いに話し合い、詰めることはしない。「パワハラマシーン」は怖いからね。そこでとりあえずIT部長の私に指示をして、「これをしろ」と促していたみたい。

 私も中途で入り、結果を早く出したいと思っていた。「立て直しのキーマン」と採用時に社長から言われていて、なんとかしたいと思った。社長や上司に、悪い印象はなかった。

筆者 俳優崩れはITに精通しているのでしょうか?

A氏 PCスキルは高校生よりも低いんじゃないかな。だから、会計システムのことを話し合っても会話にならない。意思決定ができないの。あんなのろのろとしていたら、今の時代はダメでしょう。止むを得ず、私が会計システムの基礎的な資料をまとめて見せると、また怒る。「ちゃんと俺は考えている。君なんかに言われたくない」と。ところが、意思決定を2ヵ月以上にわたってしない。しびれを切らして何かを言うと、キレる。この繰り返し……。

 一応は元俳優だから、話すの上手いですよ。演じるというか、立ち上がったりして、興奮して泣いたり……。パワハラされながら「すげぇー」と思いましたよ。よどみないから。私を潰し、追い出すのが目的だから。私と話をするつもりがないからね。彼には……。

 上司のアメリカ人は、いざというときに手の平を返し、傍観者のまま。後から食事などに誘い、「元気を出せ!」と言い始める(苦笑)。

世の中のリストラを見ると
5件に1件は「男の嫉妬」が原因

筆者 「男の嫉妬」って怖いですね。リストラの取材をすると、5件に1件は、「男の嫉妬」が絡んでいると感じます。

A氏 「男の嫉妬」か……。こちらが辞めるまでするからね。怖いよ。「俳優崩れ」が私のことをライバル視していたことは、間違いない。私のことが憎かったんでしょうね。生意気で反抗的だ、と。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

 ここ10数年の間に社会環境が大きく変わり、人々のホンネとタテマエに対する価値観が揺らぎ始めている。それを具現化しているのが、今の企業の職場ではないだろうか。これまでは、ホンネとタテマエが絶妙にバランスしながら、人間関係が維持されてきた。しかし、企業社会において生き残り競争が激化し、「他人より自分」と考えるビジネスパーソンが増えるにつれ、タテマエを駆使して周囲を蹴落とそうとする社員が増えている。

 誰もが周囲を慮らなくなり、悪質なタテマエに満ち溢れた職場の行きつく先は、まさしく人外魔境。そこで働く社員たちは、原因不明の閉塞感や違和感、やるせなさに苛まれながら、迷える仔羊さながらに、次第に身心を蝕まれて行く。この連載では、そうした職場を「黒い職場」と位置づけ、筆者がここ数年間にわたって数々のビジネスパーソンを取材し、知り得たエピソードを基に教訓を問いかけたい。

「黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史」

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