無名のベンチャー企業ゆえの身軽さとニッチ狙いが
大きな飛躍につながった

 ユーザー数1500万人、月間検索回数2億回以上。その名を聞いたことがないという方は、拙欄の読者にはいないのではないだろうか。

1994年のサービス開始以来、乗換案内サービス業界の不動のトップであり続けるジョルダン。その強みとは?

 ジョルダン「乗換案内」は1994年のサービス開始から20年以上、パソコンから携帯電話へ、スマートフォンへと利用プラットフォームが拡張しても、業界をリードする定番としての地位を不動のものとし、斬新な新機能をたびたび打ち出してはライバルたちに先行している。

 競合が激しい経路検索の分野でトップランナーであり続けている同社の強みは、いったいどこにあるのか?

「乗換案内」のトップページ。ユーザー投稿による「ジョルダンライブ!」で、鉄道遅延などの運行情報もリアルタイムで更新され、月額200円からの有料サービスでは、鉄道だけでなくバスや徒歩も含めた、駅から先の目的地までの経路検索もできる。

 パソコンが日本で一般家庭に普及しはじめるきっかけとなったのが、95年11月のWindows95の発売である。「乗換案内」の登場はそれ以前。パソコン通信はあってもインターネットという言葉はまだほとんど知られていなかった頃のことだ。

 佐藤俊和社長は大学時代にコンビュータに惚れ込んでプログラミングの道に進む。30歳となる79年にジョルダン情報サービス(現・ジョルダン)を設立するが、独立前の会社員時代から社員を食べさせるためにソフトウェア開発の仕事を外部から取ってくる苦労を経験していた。そうして受注した仕事のひとつが、横浜市水道局の給水システム。水道管経路の最短距離を導き出すプログラムの開発だ。