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外資系リーダーが日本を変える

ダイバーシティってなんだ?

足立 光・ワールド 執行役員 国際本部本部長

GAISHIKEI LEADERS
【第20回】 2015年5月15日
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最近よく聞く「ダイバーシティ」。直訳すれば「多様化」だが、日本企業ではほぼ「女性活用」という意味で使われている。ダイバーシティのマネジメントが女性活用に限ったことでないと理解する人は増えているものの、その先の議論は外国人、障害者、性同一性障害などもいる、という方向になる。20年以上の外資系キャリアを経て伝統的日本企業に転身した足立光氏は、こうしたカタカナのマネジメント用語の理解と共有が進まないことが日本企業のグローバル化を阻んでいるという。

ダイバーシティの誤謬

足立 光(あだち・ひかる)
ワールド 執行役員 国際本部本部長

1968年アメリカ・テキサス州オースチン生まれ。一橋大学商学部卒業後、P&G入社。ブーズ・アレン・ハミルトン、ローランドベルガーシュワルツコフ ヘンケル社長を経て、2013年より現職。外資系企業での経験を日本と日系企業の変革に活かしたいとの想いからGAISHIKEI LEADERSのオーガナイザーとしても活躍する。

 パソコンで「ダイバーシティ&数値目標」を検索すると、多くの日本企業がダイバーシティの目標値として「女性管理職の比率」といった女性活用に関する目標「のみ」を掲げているのがわかります。「ダイバーシティの直訳は多様化だから、マネジメントに生かすとなると女性活用だ!」というのは悪いことではありませんが、きわめて限定的です。

 そもそもダイバーシティのマネジメントとは、社員の「価値観」の多様性、つまりは生まれ育ち、カルチャー、常識が異なる社員が同居する企業組織を目指そうとするものです。その進捗を評価する際の指標として、性別・国籍・年齢等を見るわけです。グローバル化を目指すのであれば、「(同一的な価値観になりやすい)50-60代、日本人、男性、による経営」からの脱却を目標とすべきであり、「女性活用」はその指標の一つにすぎません。

 その共通認識の上に、議論を進めてみましょう。

 女性活用で凝り固まった日本企業のダイバーシティをグローバル標準へと進化させる第1ステップとしては、次のような問いが必要です。

「日本企業はどのような人材を活用すべきか?」

 お答えしましょう。まずは「和僑」、すなわち、すでに世界で戦っている、日本人の心(和魂)と外国で働くための能力(洋才)を持つ人を活用しましょう。

 武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長、リクシルの藤森義明社長、資生堂の魚谷雅彦社長に象徴されるように、日本語の話せない外国人や外資系出身者に組織や事業の責任を任せる日本企業が増えています。武田薬品工業はすでに経営陣の半数以上を外国人が占めており、資生堂に至っては日本本社のマーケティング責任者に外資系出身者を据えたり、この5月からは日本語NGのドイツ人女性をプロフェッショナル(業務用)事業の責任者に招聘したりと、経営陣の多様化を急速に進めています。

 こうした変化は、「伝統的」日本企業が組織のグローバル化に真摯に取り組んでいる証左ですので、方向性は正しいと思います。問題は、招聘した人材が、これからグローバルで事業を拡大しようとする日本企業に必要な経験値(すなわち、海外でビジネスを拡大した実績や経験)を備えているかどうかです。

 また、日本語を話さない外国人経営者を招聘するというのは、組織の大半を占めるのが(外国語を話さない)日本人であるという現状を鑑みれば、この経営者の組織への浸透やコミュニケーションを属人性に依存することになります。

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真のグローバル経営を経験してきたビジネス・リーダーが、日本社会・日本企業の多様性の欠如や視野狭窄、長期停滞などの課題に対し新たな視点での解決策を提案し、政治・経済・教育の各分野から日本社会に変革を起こしていくことをゴールとして活動する「GAISHIKEI LEADERS」。そのメンバーが、日本企業にとって最優先課題といえる「経営のグローバル化」について各自の経験と知見に基づき、グローバル規模の仕組みを理解し、日本のユニークな強みをそれと調和させた上で一層輝かせていくための新しい「グローバル経営論」を解説します。

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