「サークルクラッシャー」という言葉をご存じだろうか。同一のグループ内で複数の色恋沙汰を起こし、人間関係を崩壊させる女子のことだ。一般的にはオタクサークルなど、男性の比率が高い閉鎖的な空間に出没するとされるが、職場や飲み仲間グループといった日常の空間にも神出鬼没に現れる。まさに現代における“悪女”の典型だと言える。
最近では、当事者からの告白本『岡田斗司夫の愛人になった彼女とならなかった私 サークルクラッシャーの恋愛論』(鶉まどか著)が出版され、話題になった。また、2002年~2003年にかけてスピリッツに連載された漫画『サユリ1号』(村上かつら著)では、美少女・大橋ユキが京都の大学で数々のサークルを崩壊させていく様子が描かれている。
その存在がたびたび指摘されているのにもかかわらず、サークルクラッシャーの被害に遭う男性は後を絶たない。「俺は、そんな面倒臭い女に騙されることはない」と思う読者も多いと思うが、それでもいつのまにか術中にはまってしまう魔力が彼女たちにはある。
彼女たちから身を守るには、彼女たちの生態を知る必要がある。しかし、被害者たちに感情のもつれが発生しているだけに、その存在が冷静に分析されることは少なかった。
そこで筆者は、サークルクラッシャー本人や被害者たちにコンタクトを取り、聞き取り調査を実施した。そこでわかったのは、サークルクラッシャーには大きく分けて、「承認欲求型」「刹那主義型」「情緒不安定型」がいるということだ。彼女たちはどのような人物で、なぜサークルをクラッシュさせてしまうのか。当事者の声に耳を傾けてみよう。
普通のOLが
サークルクラッシャーに変貌した理由
まず、サークルクラッシャーの見た目だが、いわゆるミスコンに出るような“絶世の美女”であることは少なかった。また、巷で噂されているように“女の子らしい服装”をしているわけでもなく、ファッション的にはどこにでもいる、ごく普通の女性たちである。
「いかにも女性性を強調した露出の高い服装や、フリフリしたファッションをしている」と思い込んでいると、彼女たちの接近に気づけないかもしれないので注意してほしい。なかには、「どことなく憂いを湛えた表情をしているが、話しをしてみると非常に明るく、コミュニケーションが上手い」といった、見た目と性格のギャップがあるタイプもいた。
サークルクラッシャーに何度か遭遇したことがあるというある女性は、彼女たちのルックスを「顔は中の下くらいですが、化粧と雰囲気づくりが巧妙」と表現する。もっとも、男性の筆者からすると、実際に会った彼女たちの印象は、絶世の美女とは言えないものの、“中の下”よりはずっと魅力的な女性に見えた(そこがサークルクラッシャーの怖いところなのかもしれない)。
サークルクラッシャーの特徴は、色恋沙汰を狭いコミュニティー内で連続して行うということだ。恋愛や性に奔放なのは個人の自由だが、その特徴により周囲を巻き込んで、大いに揉めることになる。
はじめに、「承認欲求型」サークルクラッシャーの事例を紹介しよう。