前回は国の施策としての「教育のICT化」について、1人1台の教育用コンピューター整備予算や教育クラウド創設等の動きを紹介した。後編となる本稿では、全く異なるアプローチからこうした教育ICT環境の導入に挑む、2つの事例を紹介する。
学校長のイニシアチブで教室にICTを
多摩市愛和小学校の挑戦
1つ目の事例は、学校が「独自の取り組み」としてICT化を進めている多摩市の愛和小学校だ。
同校は国が目指している「児童1人に1台の教育用コンピューター」を有する環境がすでに実現されている学校で、2013年頃からiPadを導入、児童は毎朝登校すると「iPad部屋」に自分のiPadを取りに行ってから授業に挑むというスタイルがすでに2年度ほど続いている。
今年からはウィンドウズタブレットやクロームブックなども追加導入され、「複数のOS」を同じ学校で利用している。2015年6月に開催された同校の公開授業には、同校の特徴的な環境を一目見ようと200人を超す企業、学校関係者、市区町村の行政担当者や議員などが集結した。
同校は総務省の「先導的教育システム」とよばれる教育クラウドの検証協力校として指定されている。公開授業ではこれらの複数のOSが混在する環境の中で、教育クラウドを活用しているところを見ることができた。このクラウドの中にはドリルやクイズ型、映像を使った教材が多数格納されており、休み時間にゲーム感覚でこれらを利用する児童もいた。(取材日は雨だったので自動は休み時間にタブレット学習や読書をしていたが、晴れの日は元気に外で遊ぶ約束とのこと)