今期の中間決算で過去最高となる3651億円の経常利益をたたき出し、自己資本比率も13.8%(単体)まで回復した東京電力。2016年度中にいよいよ、6年ぶりとなる社債の発行に踏み切る方針を明らかにした。
足元の業績を見ると、その実現の可能性は高いといえる。順当にいけば、社債の代表格である東電債が債券市場に戻ってくることになりそうだ。
東電にとって、債券市場への復帰は大きな意味を持つ。
現在、東電の大株主は原子力損害賠償・廃炉等支援機構で、議決権で50.1%を保有しており、同社は国の傘下にある。機構は16年度末までに東電の経営状況を評価し、それによって保有株比率を段階的に下げていく方針で、その評価項目の中に自立的な資金調達があるからだ。
社債発行に至れば、国の傘下を脱し、市場から資金が調達できる“普通の会社”に、大きく近づくことになるのだ。
ところが、これに水を差す可能性が指摘されている。
東電は16年4月にホールディングス化され、傘下に燃料・火力発電、送配電、小売りの三つの事業会社がぶら下がる。福島第1原子力発電所の事故の賠償と廃炉、その他の原子力発電事業は持ち株会社が担うが、分社化後、持ち株会社が持つ債務の一部を、送配電会社が実質的に保証するという仕組みになっているからだ。