iPadが発売されてたいへんな騒ぎになっているのはご存知のとおりだが、これが本当に世の中を変える革新的なデバイスなのか、それとも結局は「漬け物石として使ってますよ」(デイブ・スペクター氏)ということになるのかは、まだまだ未知数だ。

6月24日より発売が開始される新機種「iPhone4」。2つのカメラを搭載していることによるビデオ通話や、複数のアプリケーションを一瞬で切り替えられるマルチタスキングなど、新機能を搭載。iPadと併せて、アップル人気に拍車をかけている。(写真提供:アップルジャパン株式会社)

 それは今後、どのようなアプリやサービスが提供されて、人々がどのように使いこなすかによって決まってくる、などと悠長な議論をしている間に、早くもiPhone4の登場だ。世の中がまったくついていけてないくらいのスピード感だ。

 iPhone4がどういうものかよく分からないが、アップルのサイトを見ると「iPhone4 すべてを変えていきます。もう一度。」というコピーが目に飛び込んでくる。アップルがそう言うのだから、ホントに何かが変わるのだろう。

 もともとアップル、というかスティーブ・ジョブズという人は、世の中を変えるのが本業みたいな人だから、いつだって「世の中を変えるぞ。ホントに変わるぞ!!」と叫んでいたような気がするが、最近のアップルには、新しい商品を出すたびに世の中が変わっていくくらいの革新的なパワーにあふれていると思う。

 しかし、それで世の中がどう変わるかについては、ジョブズはノーアイデア、というか「それはお前らが勝手に考えろ」と言ってるような気がする。たしかに、MacもiPhoneもiPadもツールなので、それをどう使いこなすかは僕らが勝手に考えるべきことなのだろう。

 ところで、テクノロジーの進化が社会貢献に役立つことも多くて、世界にはテクノロジーの力で社会問題を解決している社会起業家も多数いる。日本にも、もっと多くの理系の社会起業家が出てきて欲しいのだが、iPhone、iPadという新しいテクノロジーを活かした社会貢献の試みも増えている。

iPhoneで障害児童の学習支援
ソフトバンクモバイルの取り組み

 iPhoneの日本でのキャリアであるソフトバンクモバイル株式会社もそうしたひとつだ。まず、同社を含むソフトバンクグループは、かなり「マジでガチな」CSRを展開している。Yahoo!ボランティアは、名実ともに日本最大のボランティア情報サイトであり寄付サイトでもあるし、子供たちに対するインターネットや携帯電話の安全教育活動などは、自分たちの事業基盤のリスク・マネジメントという意味でも先進的。つまりCSR3.0的だと言える。

*CSR3.0については近々、詳しく解説するつもりだが、「本業を通じたCSR」の先にあるCSRのあり方だ。

 ソフトバンクモバイルも携帯電話の会社らしく、携帯電話を活用したCSR活動を行なっている。そのひとつが「あきちゃんの魔法のポケットプロジェクト」で、東京大学先端科学技術研究センター・人間支援工学分野と共同で2009年6月から開始されている。

 いまや、携帯電話は単なる電話ではなく、インターネット端末でもあり、カメラ、電卓、辞書、スケジュール、電子マネーなどさまざまな機能が満載されている「魔法の道具」であると考え、これを障害のある子どもたちの学習支援ツールとして活用しようというプロジェクトだ。

 例えば、脳性マヒのために言葉を発することができず、四肢マヒもあるのでペンで文字を書けない子どもでも、携帯電話のキーなら打てるというケースもある。このような場合には、携帯電話のテキストメモ機能を使った教師や友だちとコミュニケーションすることができる。