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「引きこもり」するオトナたち

引きこもり当事者が明かす“ブラック支援”の実態

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第260回】 2016年5月19日
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手を差し伸べたつもりでも、当事者にとっては“押し付け”になっているかもしれません

 「無理に外に引っ張り出そうとする」

 「自分が今まで受けた支援は、人にゴールを設定され、押し付けられるような支援だった」

 引きこもり当事者たちが感じる“ブラック支援”ともいうべき「良くなかった支援」や「望む支援・良かった支援」のかたちが、引きこもり家族会が全国の当事者らに行ったアンケートによって、このほど浮き彫りになった。

 こうした支援に対する様々な声は、「引きこもり経験者」だけでなく、家族や支援者からも集められ、『Hikky Voice』というA4版の冊子にまとめられ、関係者に配布された。

引きこもり経験者、家族や支援者からの声が集められてできた『Hikky Voice』

 調査を行ったのは、43都道府県に59ヵ所の支部を持つ「KHJ全国引きこもり家族会連合会」

 冊子を制作したのは、家族会ではありながら、引きこもり経験者主体のスタッフ5人だ。

 これらの声は主に、家族会のスタッフが、昨年度、全国22ヵ所で行われた『引きこもり大学KHJ全国キャラバン及び「当事者交流会」』の参加者1338人のうち、支援に対して回答した387人の声を集めたもの。 

 また、引きこもり界隈に関心のある多様な人たちの対話の場『引きこもりフューチャーセッションIORI』での対面聴き取りが行われたほか、KHJとIORIのホームページで掲載したWebアンケートの回答者51人の声も加えられた。

当事者が望むものとズレている
押し付け支援、中身のない支援

 「従来の引きこもり支援は、“就労”とか“経済的に自立しましょう”といった型にはめる支援が多かった。その背景には、行政が成果を求めるという事情もあったんです」

 冊子の制作に関わったスタッフは、出版のきっかけをそう説明する。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


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「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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