ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

65歳定年は誤り
高年齢者パワーをあなどるなかれ

上田惇生
【第214回】 2010年10月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
【絶版】

 「高年者が働くのは、怠けているよりも働きたいからである。仲間が欲しいからであり、依存したくないからである。これらの欲求が、経済的な理由と同じように、あるいはそれ以上に、彼らの労働力市場への参入を促している」(『変貌する経営者の世界』)

 96歳を迎える直前まで活躍していたドラッカーにしてみれば、65歳の定年退職が間違っていることは当然だった。

 定年が65歳に定められたのが、ビスマルク時代のドイツにおいてである。これが米国に導入されたのが第一次世界大戦時で、今日の平均寿命と高年齢者の健康状態から計算すれば、当時の65歳は今日の75歳に相当する。

 ドラッカーは、65歳定年は、元気な人たちをゴミ箱へ捨てているようなものだという。彼らの反撃は当然である。しかも、65歳定年は、年金制度にとっても耐えがたい負担の原因となっている。

 しかも彼ら高年齢者は、自らの主張を通すだけのパワーを持ちつつある。ドラッカーは、この高年齢パワーを「パーマネント・マジョリティ」と呼ぶ。先進国では、彼らの人口は増える一方であり、選挙での投票率も高い。

 定年延長ないし定年制廃止は、政治的にも、経済的にも、不可避である。いまや、年齢による強制退職は差別である。残された問題は、高年齢者自身が納得する退職基準の構築だけである。

 「かつては、年齢の故に退職する者などいなかった。高齢者そのものがいなかった」(『変貌する経営者の世界』)

関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

⇒バックナンバー一覧