たとえば、「電気を起こす風車」を組み立てるのに使った材料は、ほとんどすべて中等学校のそばにあったタバコ工場の跡地で拾ってきたものです。そこは、工場がなくなってから、政府の管理下に置かれていたのですが、建物は朽ち果てたままで、ゴミ捨て場のようになっていました。

 約3ヵ月かけて、トラクターのファンベルト、塩化ビニール製のパイプ、ショックアブソーバなどの廃品類を収集しました。そして、3日間で「電気を起こす風車」を組み立てました。自転車の「ダイナモ」(摩擦で電気を起こす点灯機)以外は、すべて無料でした。

風車と揚水ポンプで
効率よく収穫できる

壊れたトラクターのファンベルトなどの廃品類を利用して、独力で組み上げた風車の第1号機(上)。現在、両親の家には、改良された風車に加えて、電力の供給を補うソーラーパネルが設置された(下)

──あなたがつくった「電気を起こす風車」は、どのような原理で動いているのですか?

 その仕組みは、自転車のペダルを漕いだときの摩擦のエネルギーでライトを点けるのと同じ原理で、動力を起こす役割を風車に担ってもらえれば、電力をつくることができるというものです。

 つまり、風の力で風車を回すことで、自転車のダイナモの中の磁石を回転させて電力を生み出します。ダイナモにリード線をつなげば、電球に明かりを点すなど小口の電気も使えるようになります。

──それにしても、電気を扱うということは、危険なことでもあります。どのようにして、あなたは克服したのですか?

 もちろん、そのことは自覚しています。マラウイは、電気の世帯普及率が2%台なので、ほとんどの人は先進国のような電気のある暮らしになじみがないし、家庭まで電気をひくためには莫大な費用を負担しなくてはなりません。

 でも、電気があれば、マラウイを襲った大旱魃による飢饉や食糧不足の解決に貢献できます。風車と揚水ポンプがあれば、効率的に作物を収穫できますし、重労働からも解放されます。さらに、ボクのように途中で学校を退学するということもなくなるでしょう。

 危険であることは承知しつつも、やはり「目の前の問題をなんとかしたい」という気持ちのほうが勝っていました。だから、ボクも何回かは電気ショックで痛い目に遭いましたが、それほど深刻な事態にはならないように常に細心の注意を払ってきました。

 幼い頃から、ラジオを分解して中の構造を調べることが好きだったので、自転車のダイナモの活用はその延長線上にあったのです。

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「将来はマラウイに戻り 問題解決に取り組む」

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