コスト面や人手の問題など、いろいろ事情はあるのだろう。ただ、引きこもる本人や家族が地域で最も頼りにしなければいけない地方自治体が、「引きこもり」の人たちの実勢調査すら拒否する程度の認識では、彼らが安心して声を上げることなど、到底できない。

 本来、彼らが持つ潜在的な豊かな感性は、大きな戦力につながるはずなのに、何とももったいない。そうした人材が社会を離脱したとき、復帰する足がかりを用意してあげられず、膨大な社会的損失をつくりだしている背景には、こうした地方自治体側の理解不足も一因にある。

 話を戻すと、内閣府の推計数と差があることについて、「ふだんは家にいるが、自分の趣味に関する用事のときだけ外出する」人たちの約46万人が、内閣府推計の約70万人には含まれている。一方、「ふだんは家にいるが、近所のコンビニなどには出かける」「家からは出ない」などの23.6万人は、厚労省の推計26万世帯に近いのではないかとのイメージが、両省で合意されているという。

 ただ、厚労省は、今後もタイミングを見て、推計調査を行っていく方針だ。

セーフティネット支援に予算約200億円!
「引きこもり」本人と家族を救えるか

 また、厚労省は、本人が望んだわけではないのに、社会に出られずにいる「引きこもり」本人や家族への対策として、第1次相談窓口の役割を担う「ひきこもり地域支援センター」の設置をここ1年余り前から進めてきた。

 ただ、実際に開設されているのは、今年1月現在、目標としている全国都道府県・政令指定都市で2ヵ所ずつの最大約130ヵ所のうち、まだ29ヵ所にしか広がっていない。

 厚労省は11年度予算案で、社会福祉士や精神保健福祉士といった「引きこもり」支援コーディネーターらを配置する、こうした同支援センター整備などの「引きこもり」のセーフティネット支援に、約200億円を計上した。

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期待高まる「アウトリーチ支援」の効果

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